学校法人が運営する保育園に地元産などの給食用食材を納入している中小業者が、学校法人からの消費税インボイス登録の確認に対して「登録しない」と回答したことを理由に、3月末で一方的に取引を打ち切られる事例が発生しました。相談を受けた全国商工団体連合会(全商連)は4月14日、事態の是正を求めて、文科省と財務省に要請しました。
財務省や公正取引委員会などが明示しているQ&Aでは、取引先にインボイス登録事業者にならなければ取引を打ち切るなどと一方的に通告することは独占禁止法に違反する恐れがあるとされています。
全商連は「インボイス実施は10月なのに、3月で契約を打ち切るのは優越的地位の乱用だ」と指摘。その上で、①学校法人や保育園は非課税取引が多く、そもそも仕入税額控除やインボイスを必要としない場合もあり、②保育園単体では免税事業者の場合もあるはずで、課税事業者だとしても簡易課税を選択していればインボイスを取引先企業に求めることは不要、③文科省「学校給食実施基準」(2021年2月12日)では、学校給食で地場産物の積極的な使用に努めることを求めており、地元食材の納入を担っているのは地元中小業者だ―と、是正を求めました。
財務省は「非課税取引であれば、インボイスは必要ない」「会計処理にもよるが、給食費が非課税であれば仕入税額控除の影響はない。学校給食実施基準にも照らし、納入業者のインボイス登録に関して、学校法人等が正しく判断できるよう何らかの対応策を検討したい」と回答。文科省も「財務省の見解を踏まえ、分かりやすく踏み込んだ広報資料を作って、周知することを検討したい」と回答しました。
全商連の中山眞常任理事は「財務省は“免税事業者への影響は、激変緩和措置や経過措置があるから大丈夫”と繰り返し説明してきたが、実際には取引停止などの不当事例が相次いでいる。税制で商売をつぶさない手立てを取るべきだ」と強調し、インボイスの延期・中止を重ねて要望しました。