Q1 マイナンバーカードと健康保険証の一体化って何が問題?
A 国民を医療から遠ざけ、皆保険制度を壊す
国民が医療から遠ざけられ、世界に誇る国民皆保険制度を崩壊させてしまいます。
そもそも現行の健康保険証には、これまで何の問題もありませんでした。廃止する理由は何一つありません。
にもかかわらず、「マイナンバーカードの普及」のごり押しのために“これまで通りの医療を受けたかったらマイナ保険証にせよ”と、健康保険証を廃止します。マイナポイントが「アメ」ならば、健康保険証廃止は「ムチ」と言えます。
情報漏えいや紛失などのリスクを避けてマイナンバーカードを取得しない人や、カードを取得しても健康保険証のひも付けをしない人は、これまで通りの医療を受けられません。政府はこれらの人々に「資格確認書」を発行すると言いますが、年1回の申請が必要な上に、窓口負担を上乗せし、ペナルティーを課す考えです。
健康保険証の廃止、マイナンバーカードとの一体化は、「国は社会保障の向上・増進に努めなければならない」とする憲法25条に違反する暴挙です。
Q2 マイナンバーの利用範囲の拡大で、どんなことが起きるの?
A 国家による国民監視が強まり個人情報は民間企業に提供される
あらゆる分野でマイナンバーが活用され、国民監視国家、強権国家に結び付きます。そして、公権力を使って集められた多岐にわたる膨大な個人情報が、利益を生む「資源」として企業に提供されることになります。
そもそも現在のマイナンバーは、社会保障と税、災害対策の3分野で、マイナンバー法の別表で規定された利用範囲でしか使えないことが法律で決まっています。これが今回の法案では、理容師や美容師、小型船舶操縦士、建築士などの国家資格の更新や自動車の登録、外国人の在留資格の許可などに利用範囲が拡大されます。
さらに、すでにマイナンバーの利用が認められている事務に「準ずる事務」であれば、法律改正を国会で問わなくても、政省令の「改正」でマイナンバーの利用が可能になります。つまり、時の政権の判断で、際限なくマイナンバーの利用範囲が拡大できるということです。
今後、さらに利用拡大が進み、マイナンバーやマイナンバーカードが“生活に欠かせないもの”とされれば、利用するたびに個人情報が政府によって収集され、「マイナポータル」を入り口とした民間との情報連携が図られることになるでしょう。
Q3 預金口座と、ひも付けして大丈夫?
A 徴税強化につながり全ての取引が国家に収集・管理される
「『公金受取口座』の登録で7500円分のマイナポイントもらえます」というキャンペーンに応じて預金口座をマイナンバーに、ひも付けした方も多いのではないでしょうか。
口座を登録することで、政府や自治体からの給付金などをスムーズに受け取れるようになるなどの利便性はあるでしょう。
しかし、政府の狙いは、口座とマイナンバーをひも付けし、税金や社会保険料の徴収強化を進め、納付率を向上させることです。
今、消費税インボイスの導入が問題になっていますが、中小業者にとって、インボイスとマイナンバーがひも付けされれば、全ての取引が国に収集・管理される危険も出てきます。
カナダでは、トルドー首相が昨年2月、政府が進める新型コロナウイルス対策に反対するトラック運転手らのデモに対し、関わった個人や法人の銀行口座を凍結する弾圧を加えました。マイナンバーと預金口座のひも付けで、政府に預金口座を掌握されれば、こうした事態も招きかねません。
Q4 健康保険証の廃止やマイナンバーの利用拡大を中止させるには?
A 反対の世論と署名を広げよう
「マイナンバーカード強制をやめよ」「保険証廃止法案は撤回を!」の声を津々浦々まで急いで広げ、今国会に届けましょう。為政者が無視できないほどの声を主権者が上げれば、マイナンバーカードの強要を止められることは、同カードの有無で学校給食無償化を差別しようとした施策を、市民の声と運動で撤回させた岡山県備前市の事例を見ても明らかです。
マイナンバー制度反対連絡会などが昨年10月に呼び掛けた「健康保険証を廃止しないことを求める署名」は、同12月までの3カ月間で約20万人分に達し、今年1~3月にも約20万人分が寄せられました。同連絡会の国会前宣伝には毎回100人もの参加者が駆け付けています。
「岸田政権に対して、カードの強制と差別への怒り、『勝手に決めるな』の思い」(同連絡会の原英彦事務局長)が全国から寄せられています。強制と差別をもたらすマイナンバーカード、マイナンバー制度そのものに国民の怒りが沸き起こっています。健康保険証の廃止をやめさせ、デジタル監視社会を許さないために、力を合わせましょう。
利用拡大に歯止め 全商連など省庁交渉
全商連はこの間、マイナンバー(個人番号)の利用範囲を広げようとする行政の動きに対し、内閣府や総務省、厚労省など所管する省庁に対し、全国中小業者団体連絡会(全中連)の中小業者決起大会などの省庁交渉の機会も生かしつつ、機敏に要請。「確定申告書に個人番号不記載でも受理する。不利益はない」(国税庁)など、利用拡大に歯止めをかけてきました(図1~3)。