「中小業者いじめのインボイス制度は中止せよ」―。税金の専門家、税理士60人がプラカードを一斉に掲げてアピールしました。「インボイス制度の中止を求める税理士の会」が3月30日、衆院第1議員会館でオンライン併用で開いた「国会決起集会」の一こまです。集会後には「インボイスを考えるフリーランスの会」が衆院第2議員会館前で初めての街頭宣伝。俳優・声優の岡本麻弥さんらが「STOP!インボイス」と声を上げました。
【税理士の会】「ボイコット大作戦」を 国会決起集会
「決起集会」では、税理士や多彩な団体の代表がリレートーク。「税理士の会」発起人の菊池純税理士は「政府は、インボイスの激変緩和措置を打ち出し、日本税理士会連合会(日税連)にインボイス発行事業者登録の周知を要請。日税連はこれを受け入れ、インボイスの実施延期の要望を削除してしまった。インボイス制度は大増税政策の一環だ。納税者と税理士が団結し、中止を求めよう」と呼び掛けました。
「アニメージュ」2月号の座談会「インボイス制度は中止しかない」にも登場した税経新人会の神田知宜税理士は「ボイコット大作戦」を提唱。「インボイス発行事業者への登録は、9月末のギリギリまでしない。登録したけど、後悔している人は申請を取り下げる」という運動です。「『フリーランスの会』の調べでは、登録申請の取り下げ件数は2月末時点で3226件に上っている。登録者数が少なくなれば、制度自体が成り立たない」と強調しました。
全国商工団体連合会(全商連)の中山眞常任理事は「1986年、当時の中曽根内閣は売上税と共にインボイス制度を導入しようとしたが、翌春の統一地方選挙で自民党が惨敗。中曽根内閣は退陣に追い込まれ、売上税もインボイス制度も葬り去られた。今、たたかわれている統一地方選で消費税減税とインボイスの実施中止・延期の審判を下し、実施中止の道をこじ開けたい」と訴えました。
日本共産党の小池晃、山添拓の両参院議員、田村貴昭衆院議員をはじめ、自民党や立憲民主党、れいわ新選組、社民党の国会議員計13人が激励。小池晃参院議員は「インボイス制度は将来の大増税に向けた下準備だ。制度を撤回させるため、頑張り抜きたい」と語りました。
【フリーランスの会】夢持てる社会つくろう 国会前宣伝
第2議員会館前の宣伝では、ライターや俳優、声優などが次々とマイクを握りました。
「インボイスを考える演劇人の会」からの参加者は1歳半の子どもを連れて参加。「インボイス制度が実施されれば、子どもや文化の未来が狭まり、生きづらい世の中になる。これまで政治に関心がなかった私がインボイス制度を知り、反対の声を上げなくちゃと思った。演劇界では、まだまだ制度を知らない人が多い。皆さん、気付いてください」
「永田町でマイクを握るなんて考えもしなかった」と切り出したのは、俳優・声優の岡本麻弥さんです。声優仲間と「VOICTION(ボイクション)」を立ち上げ、インボイス制度に反対しています。「インボイス制度は、エンタメ業界だけではなく、全ての人たちに関わる問題。政治は生活の延長線上にある。私たち主権者が、夢を持って生きられるような社会をつくりたい」と訴えました。