政府は3月22日、エネルギーや食料品価格等の物価高騰対策として、2022年度予算の予備費から総額2兆円を超す支出を決定しました。これにより、ロシアによるウクライナ侵略以降、累計で15兆円を超える物価対策予算を投入したとしています。
15兆円のうち、ガソリン補助金の延長経費6・1兆円、電気・都市ガス料金の軽減に3兆円となっていますが、国民が軽減されたという実感がないものに多額の税金が投入されているのが実態です。
本来であれば、物価高騰対策や新型コロナ対策については、基本となる本予算にしっかり組み込み、国会の議論を経て決めるべきもので、今回の政府のやり方に「ばらまきに陥りかねない」との指摘もあります。今回決定した対策は、総額2兆円のうち、国が自治体に配る「地方創生臨時交付金(臨時交付金)」を1・2兆円とする内容で、4月の統一地方選挙を前にして、大急ぎで措置した「予備費の乱用」との批判が出るのも当然です。
3月17日の参院経済産業委員会では、日本共産党の岩渕友議員が、全商連付属・中小商工業研究所がまとめた全自治体調査結果(3月13日号2面既報)も活用して、臨時交付金の継続を要求したところ、西村康稔経産相が、「非常に有効な手段だ」と回答していました。
全国知事会も3月9日に、「予断を許さない物価高騰への追加対策に向けた提言」を発表し、臨時交付金の継続を求めていました。
1・2兆円の内訳は、低所得世帯支援枠に5千億円、LPガスなどを含むエネルギー・食料品価格高騰対応推奨事業メニューに7千億円となっています。この推奨事業は、国が推奨しているメニューよりも「地方公共団体が、更に効果があると考えるものについて、実施計画に記載して申請可能」となっており、地方自治体が原則自由に利用できるものです。
前出の全自治体調査でも、自治体の7割が支援制度を検討する際に重視したのは「事業者団体の意見」と回答しています。実効性ある業者支援を実現するために、臨時交付金の有効活用を迫る自治体要請が、いっそう重要になります。