慌ててインボイス登録をせず 自主計算パンフ活用を 全商連 推進交流会開く|全国商工新聞

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 「インボイス発行事業者への登録は、来年9月末までに申請すれば、10月からの実施に間に合う」「実施中止の世論と運動をさらに広げよう」―。全国商工団体連合会(全商連)は2日、「直面するインボイス対策と自主計算パンフの活用推進学習交流会」をオンラインで開き、434カ所で視聴されました。

全商連が開いた「直面するインボイス対策と自主計算パンフの活用推進学習交流会」

 喜多健吉常任理事(税金対策副部長)が主催者あいさつ。「今書くべきなのは、インボイス発行事業者登録の申請書ではなく、インボイス制度の実施中止署名だ。自主申告を貫き、来年の3・13重税反対全国統一行動を大きく成功させよう」と呼び掛けました。
 奥津年弘税理士がインボイス発行事業者申請の対応について解説しました。
 「取引先に事業者の負担を説明し、信頼関係を維持しつつ、来年9月後半までは中止・延期を求める運動を中心に据えることが重要」と強調。取引先から登録を求められた場合、「本当に課税事業者となることを選択していいのか検討し、経過措置(2023年10月1日~26年9月30日までは仕入額の80%、26年10月1日~29年9月30日までは同50%が控除できる)を考慮に入れ、課税事業者になった場合と免税事業者のままの場合の納税予想額を試算して登録可否を判断する。課税事業者にならざるを得ない場合は、原則(一般)課税、簡易課税のどちらを選択するかも検討する必要がある」と述べました。
 登録申請手続きについて「『困難な事情』がある場合には、同9月30日まで申請期限が延長できる特例がある。その際、申請用紙に『取引先との価格交渉のため』などの理由を書き忘れないように」などと注意点を説明。「事業者がインボイス制度に反対している意思を示すため、ぎりぎりまで申請書の提出は先延ばししよう」と訴えました。

分かる→高まる 三つのポイント

 中山眞常任理事が「自主計算パンフレット2023」の特長や自主申告運動の進め方、インボイス中止に向けた運動などを報告。「自主計算パンフ」は「三つの分かる」と「三つの高まる」が特長だと述べ、「①税制・税務行政の実態が分かる→税金の集め方・使い道=政治への関心が高まる②自主記帳・自主計算・自主申告の大切さが分かる→主権者としての自覚が高まる③仲間がいる民商の良さが分かる→仲間を増やす意欲が高まる」と強調。「パンフを使った日常的な話し合いが、税金に強い民商・納税者をつくるとともに、申告書を作成する相談員の担い手を増やし、役員や会員が教え合う自主申告運動や、権力からの弾圧に隙を与えない民商活動の力になる」と訴えました。
 インボイス制度の実施中止・延期の展望について「SNSで『自民党内でインボイス延期を求める意見が続出』との投稿が相次ぎ、インボイスに反対するフリーランスのグループが次々に発足し、文芸・美術団体も反対の声を上げている。『負担軽減措置』をまとめたが、新たな実務と税負担は解消されない。きっぱり実施中止に追い込もう」と呼び掛けました。

「税金相談員」が申告をサポート

 3人が活動を報告。「会員547人のうち100人以上がパソコン記帳をしている。簿記セミナーに続き、確定申告サポーター養成講座を開き、自主計算パンフを学び、相談員が申告書作成をサポートしている」(大阪・東淀川民商)、「署名は1会員10人を突破。支部ごとにインボイス制度の網の目学習会を開き、課税事業者になっても、免税事業者のままでも負担が増える実態を明らかにした。署名と商工新聞で不安を感じている中小業者との対話を広げたい」(群馬・前橋民商)、「山形県内36自治体のうち8自治体がインボイス制度の実施中止・延期を求める意見書を採択した。『インボイス困りごと110番』を開設し、電話相談で地域の業者の不安に応えたい」(山形県連)など各地の取り組みを発言しました。

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