「物価高から暮らしを守れ消費税率今すぐ下げろストップ!ストップ!インボイスマイナカードの押し付け反対!」―。抜けるような秋晴れの下、北海道から沖縄まで各地から集まった中小業者やフリーランス、医師、農民ら900人が東京タワー周辺をサウンドデモし、力強く唱和しました。全国中小業者団体連絡会(全中連)が6日、東京・芝公園で開催した「11・6大集会」の参加者です。翌7日には、7省庁と交渉。国会議員要請にも取り組み、署名約10万人分を国会に提出しました。
全中連が大規模な集会を開くのは、コロナ禍のため約2年半ぶり。全国から続々と多彩な参加者が集まりました。
雑誌編集を手掛ける東京都内在住の阿部伸さんは「クリエーター仲間は免税事業者で、原稿を依頼した時に、どちらが消費税を負担するのか迫られる。登録は来年9月30日までせず、制度をストップさせたい」との思いで参加しました。
長野から参加した中山かおりさん=司会業=は「コロナ禍で結婚式やイベントが中止になり、仕事がなくなった。インボイス制度が実施されれば式場などから発行を求められる。10%の消費税なんて、とても負担できない」と怒りの声を上げました。
困ることは困ると言える社会に
集会では、各界から10人が発言。
「インボイス制度を考えるフリーランスの会」の小泉なつみさん(フリーライター、右)は「10月26日に日比谷野音で大集会を開き、1200人が参加した。オンライン署名は10万人を超えた。生活と仕事が一体の生き方を守る」と語り、人気アニメ「呪術廻戦」の作画監督も手掛けた西位輝美さん(アニメーター)が「ツイッターなどでインボイス反対と発信すると、“益税”などと批判される。困ることは困ると言える社会にしたい」と訴えると、大きな拍手が送られました。
出版文化に関わる人たちも声を上げました。日本出版者協議会の水野久会長は「小規模出版社はフリーランスと仕事をしている。消費税負担の税の押し付け合いになる」と実情を語り、日本SF作家クラブ幹事で作家の藤井太洋さんは「売り上げが一定でない作家などは、赤字でも納税しなければならなくなる」と訴えました。
東京土建一般労働組合・税金経営対策部長の大木栄一さんが「インボイスに登録するか値引きを受け入れるかの二者択一が迫られる」と建設業の実態を、農民運動全国連合会の長谷川敏郎会長は「生産コストの増大で多くの農家は赤字。9割が免税事業者だが、インボイスで納税を迫られれば廃業せざるを得ない」と告発しました。
保険証の廃止で医療機関に負担
白衣姿で登壇したのは全国保険医団体連合会(保団連)の馬場一郎さん(神奈川・うのもり歯科医院)。「政府は突然、保険証廃止を言い出した。顔認証システムなど医療機関に新たなコストが押し付けられる。仲間と一緒に止めたい」。
自由法曹団の弁護士・西田穣さんは「インボイスとマイナ保険証で、取引を含め全ての情報が一括管理され、流出する危険がある」と警鐘を鳴らしました。
インボイス制度の中止を求める税理士の会の佐々木淳一税理士は「インボイス中止を求める運動に、520人超の税理士が賛同した。さらに広げたい」。
全国労働組合総連合の小畑雅子議長は「岸田政権は有効な物価対策も打たずに、年金を引き下げ、医療負担を引き上げている」と批判し、連帯してたたかう決意を述べました。
心一つに奮闘し 岸田政権打倒を
主催者を代表して太田義郎代表幹事(全国商工団体連合会会長)があいさつ。「岸田政権は消費税の引き下げに背を向け、インボイスを強行して小規模事業者にさらなる税負担を押し付けようとしている。あらゆる人々と心一つにインボイス中止を呼び掛けよう」と訴えました。閉会あいさつした住江憲勇代表幹事(保団連会長)は「経済対策でも、感染症対策でも、安全保障でも、国民の願いに背を向け続ける岸田政権は即刻退陣するべき。打倒に向けて、ともに頑張ろう」と呼び掛けました。
集会には、山下芳生参院議員(共産)と櫛渕万里衆院議員(れいわ)が連帯のあいさつをしました。
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