中国・湖北省武漢で発症した新型コロナウイルスによる新型肺炎への感染の広がりが、問題になっています。
中国での感染者および死者数の増加や、日本国内でも感染者数が毎日増加する中で、あたかも「死病」が日本に押し寄せているかのような報道が連日続いています。
政府も、日本国内の感染を防ぐとして、湖北省からの「入国禁止(入国制限)」を現在実施しています。
一方で世界保健機関(WHO)は、1月30日に新型肺炎に関する緊急事態を宣言(勧告)したものの、「不必要な渡航・貿易制限を行う理由はない」と入国制限については勧告に盛り込んでいません。
日本とほぼ同時期に感染者が確認された欧州連合(EU)では、「恐怖でなく事実(の解明)の時だ」として、落ち着いた対応を各国に求める動きが国家レベルで進んでいます。
感染の広がりは、国内の経済にも暗い影を落としています。すでに、日本旅行業協会が2月3日、中国からの訪日客のキャンセルがこの3月までに40万人に上るとの見通しを明らかにしました。また、訪日客の減少を受け、百貨店などが見込んでいた「春節商戦」も空振りに終わるなど、大きな影響を与えています。
ところが国会ではこの問題を利用し、感染が疑われる人の移動制限や強制入院のために「緊急事態条項」を憲法に新設すべきと、自民党や日本維新の会に所属する議員が発言。また、「野党はいつまで、桜を見る会問題を追及するのか」と、まるで野党が、新型肺炎対策に取り組んでいないかのような異論も飛び出しているのは言語道断です。
最近になって、国会での野党議員の追及に、政府は「感染症指定病院以外でも専門の診療窓口や相談センターを設置する」と答弁していますが、今回の影響で打撃を受ける産業への経済対策は大きく遅れています。
京都府・市や金沢市などで、今回の新型肺炎の影響で売上減少となった企業への融資制度を緊急に創設するなど、自治体レベルでの対策が始まっています。
国として、実態をふまえた、中小業者への経済支援策を講じるよう強く求めていきましょう。