「インボイス制度の中止を求める税理士の会」が記者会見 税理士309人がアピール 「制度の骨格を崩す」 |全国商工新聞

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税理士の会が記者会見 国会議員は43人駆け付け

「インボイス制度の中止を求める税理士の会」が開いた記者会見

 税の専門家である税理士の有志が集まった消費税の「インボイス制度の中止を求める税理士の会」が9日、衆院第2議員会館で記者会見を開きました。
 税理士41人が呼び掛け人となって作成した「アピール」を発表し、これまで309人の税理士から賛同が寄せられています。

 記者会見では3人の税理士が報告。高橋紀充税理士は、消費税の「そもそも論」を話し、「消費者が消費税を納めているという理解は誤りであり、法律上、『事業者が消費税を預かる』という文言は規定されておらず、事業者が消費税率相当分を対価に含めているに過ぎない」と指摘。平井志穂子税理士は「複数税率が導入されてからの2年半、消費税申告は8%と10%に分けた区分経理と『区分記載請求書等保存方式』で適正に行われ、『適正な課税』のためにインボイスが必要という理由は成り立たない」と強調。
 佐々木淳一税理士は「影響を受けるのは1千万人に上り、免税事業者が10%の消費税負担に耐えられるとは思えない。今でも国税で新規滞納が最も多い消費税は仕組みに欠陥がある。導入しなければならない理由も存在せず、税の専門家の立場から反対の声を上げた」と語りました。
 国会懇談会では、日本大学の阿部徳幸教授・税理士が基調報告。「消費税は付加価値に税金をかけるもので、制度上、仕入税額控除ができなければならない。帳簿や請求書が保存されていれば、仕入税額控除ができるという従来の要件を厳しくするのは、制度の骨格を崩す」と厳しく批判。「インボイス制度導入の狙いは、さらなる税率引き上げのためだ。制度は廃止するしかない」と強調しました。
 消費税廃止各界連絡会(各界連)の中山眞事務局長は「インボイスを巡って、せめぎ合いが激化し、与党議員の中からも反対の声が上がっている。実施を必ず中止させたい」と力を込めました。
 懇談会には自民、立憲民主、共産、れいわ、社民の各党の国会議員43人(秘書を含む)が駆け付け、日本共産党から大門実紀史参院議員、宮本徹、田村貴昭の両衆院議員が激励。大門議員は「現在、インボイスがなくても適正に納税されている。インボイス制度を導入するのは、さらなる増税を狙っているため。参院選で息の根を止めたい」と訴え、自民党の城内実衆院議員も「個人タクシーの免税事業者と課税事業者がちょうちんマークの色で区別され、運転手が選別されようとしている。実施中止・延期を求める国民運動に発展させよう」と呼び掛けました。

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