「コロナ禍が長引いた上に、燃油や食材、資材が高騰し、経営を圧迫している。実効性のある支援をしてほしい」―。各地の民主商工会(民商)は、市長らと懇談して苦境を伝え、独自の直接支援などを求めています。
滋賀県長浜市 新市長と初めて懇談 長浜民商 物価高騰訴え
滋賀・長浜民商は6日、長浜市の浅見宣義市長と初めて懇談。6人が参加しました。駅前開発など「ハコモノ」中心の市政で批判を浴びていた現職を破り、2月に初当選した元裁判官の市長に、地域の中小業者の実態を知ってもらうため実施したもので、6人が参加しました。
市に、燃油や物価高騰の状況を伝え、固定費支援など、コロナ禍を乗り越え、経営の継続を第一とする事業者への緊急支援や「住宅リフォーム助成制度」の復活・継続、国保の18歳未満の均等割無料化や事業主への傷病手当・出産手当の給付など、5項目を要請。
インボイスの実施中止について、Mさん=化粧品販売=は、「地域の女性の癒やしの場としてフェイシャルサロンを経営してきたが、コロナ禍で来客は激減。インボイスが実施されれば消費税負担が増え、ますます厳しくなる」、Nさん=雑貨小売=は、「輸入品のハーブやガソリンの高騰で、仕入れ経費が20%も上昇した。インボイスが始まったら、商売の継続ができなくなる」と訴えました。
コロナ感染拡大の直前にスナックを開業したYさんは、3人いた従業員を1人にせざるを得なかったと話し、「街はガランとしているが、家賃やカラオケリース料など固定費は変わらない上に、仕入れ値は高騰し、先行きが不安だ。支援があれば、続ける意欲も湧く」と話しました。建築業のKさんは、「町場の工務店は、木材高騰で契約すらできない。住宅リフォーム助成が復活すれば経済が活性化し、消費者に喜ばれる。ぜひ復活・継続を」と訴えました。Hさん=建築=は「高等専門学校を誘致し、若者が定住すれば、交通機関も充実し、産業も栄えるのでは」と提案しました。
30分間と短い懇談でしたが、浅見市長はじっくりと話を聞き「自分たちだけでなく、公益なこととプラスして要請すれば通ると思います」と述べました。参加者は「道理にかなった要求であることを伝え、宣伝や署名などで世論を広げよう」と話し合っています。
北海道北見市 副市長「早期に策を」 北見民商 調査結果示し
北海道・北見民商は5月17日、北見市に「新型コロナウイルス感染症と原油・原材料の高騰に対する中小業者への支援を求める要望書」を提出。長引くコロナ禍や物価高の影響を直接伝え、積極支援を求めました。コロナ関連では6回目の要望。佐々木泰会長=行政書士=ら5人が参加し、浅野目浩美副市長が応対しました。
佐々木会長が要望書と、原油や資材の高騰についての緊急アンケート結果を手渡し、「コロナ禍に加えて、原材料の高騰が深刻だ。自治体として実態を把握し、早急に対策を講じてほしい」と訴えました。副市長は「多くの事業者が厳しい状況にあることは理解している。財政に限りはあるが、補正予算の実施を決めた国の動向を見ながら、しっかりと対応したい」と回答。国民健康保険(国保)等の市独自の減免制度が今年度も実施される見通しを明らかにしました。
会員がそれぞれの厳しい実情を告発。Kさん=設備=は「部品が入ってこず、ボイラーの修理を依頼されても、すぐ交換できない。今年に入って資材が約3割上がったが、価格に転嫁できない」。Nさん=クリーニング=は同業者組合の役員も務めており、「包装資材が倍に高騰するなど、過去にない異常な値上がり。価格転嫁はできず、これではやっていけない。他自治体で実施した水道料金の減免や医療従事者へのクーポン配布なども参考に、ぜひ支援を」と訴えました。Gさん=飲食=も「感染が高止まりし、夜の街は非常に厳しい。輸入食材が入荷しないなどの影響もあり、先行きが見通せない」と述べました。
副市長は「皆さんの状況はよく分かりました。支援を準備し、早い時期に議会に示したい」と回答。消費税のインボイスについて「免税事業者が懐に入れている“益税”を解決するための制度」と述べたのに対し、「消費税は“預かり金”ではない。実態をしっかり認識してほしい」と要望しました。
初参加のKさんは「きちんと話を聞いてくれて良かった。何度も回数を重ねていくことが大切」と感想を述べていました。