各地の3月議会で、消費税インボイス制度の実施中止や延期を求める意見書採択が相次ぎました。民主商工会(民商)の請願・陳情を受けた地方議員が「インボイスが実施されると、中小業者の経営と生活が守れなくなる」と、党派を越え奮闘しました。
福島県白河市 民商の学習会が力に 白河民商が担当で3自治体目
「国及び政府においては、中小零細事業者や個人事業主の事業存続と再生のために…消費税インボイス制度は中止すること」―。福島県白河市議会は、「消費税インボイス制度の実施中止を求める意見書」を全会一致で採択しました(3月14日)。白河民商が担当する1市1町3村に請願していたもので、矢吹町、西郷村(2月7日号既報)に続く採択となりました。
二宮三樹男会長=看板広告=は「5自治体中3自治体で採択され、うれしい」と声を弾ませ、「議員の中にも中小事業者がいるから、インボイスの問題が分かったのだろう」と話します。
紹介議員となった深谷弘市議(共産)から提出された「消費税インボイス中止に関する請願書」を、議会運営委員会に付託。議運委の市議(自民)は、民商の学習会でインボイス制度を知り、「弱者に消費税を負担させるような制度で、中止させないと大変なことになると思った」と述べ、「どこの党が提出した請願かは関係なく、市民の立場に立って、この制度がプラスかマイナスなのかを考え、検討してほしいと議運委で話した」と振り返りました。「それぞれの議員が学習して検討し、全ての会派が請願に賛成した。農家にも影響があることが大きかったと思う」と同市議。
深谷市議は「いつもタッグを組んでいる議員と話し合い、請願に賛同してもらった。矢吹町や西郷村で採択されていたことも影響を与えた」と語り、「本会議では、議運委の決定を受け、全会一致で採択された」と話します。
二宮会長は「商工新聞を見て不安に思った読者から『現時点では、親会社からインボイス発行業者になるように言われているわけではないが…』と問い合わせの電話が来る。その人たちには『実施まで、まだ日にちがあるから一緒に考えよう』と話している」と述べ、「民商で学習会を開いてきたが、今後は会外にも問題点を伝えていきたい」と表明しています。
高知県仁淀川町 「住民のため」で一致 仁淀川民商 学習DVD視聴も
高知県仁淀川町議会は「消費税のインボイス制度の実施延期を求める意見書」を全会一致で採択しました(3月11日)。仁淀川民商が意見書採択を求める陳情書を提出していたもの。
議会運営委員会では「難しい内容なので、今回は保留しよう」などの意見も出されましたが、藤堂賢太郎町議(共産)が「中小事業者にとって大事な問題だ。議会でしっかり議論しよう」と説得。父親が鉄工所を経営する新人町議(無所属)も「銀行員から『インボイス制度が実施されると、ややこしいことになる』と聞いたことがある。大変なことになるのではないか」と発言し、本会議にかけることに。
意見書は、前出の新人町議が本会議に提出し、意見や質問は出されず、全会一致で採択されました。
藤堂町議は「新人町議とは所属政党は違うが、同期なので『住民の実態が分かる新聞も読んで学んだ方が良い』などと話している関係」と述べ、「今後も町民のために力を合わせたい」と言います。「意見書は採択されたが、多くの議員はインボイス制度を理解していない様子だった。民商から受け取ったインボイスの学習DVDをみんなに見せたい」と話しています。