「高過ぎる消費税が、納付期限(3月31日)までに一括で払えない」と各地で悲鳴が上がっています。長崎・東彼民主商工会(民商)は毎年、「換価の猶予」制度を積極的に活用し、今年は14人が申請型「換価の猶予」申請書を佐世保税務署に提出しました(8日現在)。
娘2人と一緒に美容室を経営するKさんは、消費税31万5200円を4月から11回に分けて納付する申請書を提出。4月に入ってから「換価の猶予許可通知書」と一緒に分納の納付書が送付されてきました。
「一度に納付すると、運転資金が無くなるので不安に思っていた。分納が認められてホッとした」と話します。
毎年、消費税の負担が重いと感じていましたが、コロナ禍以前は、どうにか都合をつけて一括で納めていました。ところが、コロナ禍で結婚式も無くなり、成人式も縮小されるなど多くのイベントが中止に。お客も外出を控えるようになり、美容室に通う回数が減り、売り上げは大幅ダウン。3年目を迎えたコロナ禍が、経営をさらに悪化させました。Kさんは、民商に相談し、昨年に続いて「換価の猶予」を申請しました。
「運転資金も確保でき、事業復活支援金50万円も4月初旬に振り込まれて助かった。来年は創業60周年。ここまで頑張ってこられたのは、民商に入っていたから。いろんなことを学んだことが力になった」と笑顔を見せています。
申請型「換価の猶予」
国税を一括で納付することで事業の継続または生活の維持を困難にする恐れがあると認められる場合、申請に基づいて差し押さえ財産の換価(売却)を1年間(最長2年)猶予することができる制度です。
納税者が申請する「申請型」換価の猶予は納期限から6カ月以内の申請が必要です。認められれば、猶予期間内に分納することが可能になり、延滞税も年8・8%(納期限の翌日から2カ月以降)から0・9%に減額され、負担が軽くなります。
申請型の他に税務署長の職権による「換価の猶予」制度があります。