税の再分配機能強化を 第4回いのちとくらしを守る税研集会|全国商工新聞

全国商工新聞

税務行政や公平・公正な税の在り方などを話し合った「第4回いのちとくらしを守る税研集会」

 「第4回いのちとくらしを守る税研集会」(主催は同実行委員会)が1月29、30の両日、東京都内でオンライン併用で開かれ、延べ約340人が参加しました。
 29日の全体会では、政治経済研究所理事の合田寛さんが「パンデミック後の税財政―新自由主義にどう立ち向かうか」と題し講演。米バイデン政権の政策を紹介し、「パンデミック後は、新自由主義からの転換しかない。税の再分配政策を重視し、消費税減税や法人税、所得税の最高税率を引き上げ、社会福祉や雇用確保のための財源の大幅増を」と訴えました。
 東京税財政研究センター理事長の岡田俊明税理士は「来年度予算案と税制改正大綱の批判的検討」をテーマに講演。「2022年度予算案は21年度補正予算と一体の『16カ月予算』。総額146兆円となり、補正予算膨張に歯止めがかからない」と批判。「税制改正大綱」について「隠ぺい仮装行為があって申告または無申告の場合、証拠書類が準備できない経費は損金に算入されず、課税庁に有利な課税を可能にする危険性がある」「申告や過少申告への加算税加重は、記帳や申告への一方的な強制が強まり、ペナルティー強化と税務調査によって事業の継続断念に追い込まれかねない」と強調しました。
 30日は4分科会を開催。「税務行政、税務調査、インボイス」分科会では、全国税労働組合から報告。「調査件数より“深度ある調査”に方針転換し、多くの追徴額が発生する事案を選定し『お尋ね』文書や電話による簡易な接触を増やし、修正申告を迫って追徴税額を増やしている」と説明しました。
 東京税財政研究センター専務理事の八代司税理士は「国税庁は税務行政の内部事務センター化と、コロナ後の『非対面型調査・徴収体制』への移行を図っている」と指摘。「共通番号カードの行政サービスを民間に後押しさせ、デジタル庁を司令塔に全産業のデジタル化を進め、個人情報を『もうけのタネ』にしようとしている」と批判しました。
 「社会保障と財源問題」分科会では、立正大学法政研究所特別研究員の浦野広明税理士が22年度予算案を示し「納税や課税の根拠は憲法。税負担の原則は応能負担で、全ての税金は福祉に使われるべき」と強調。
 「滞納問題」分科会では自治体の強権的な滞納処分の転換や、国保滞納の現状と背景が議論されました。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから