「中小事業者や個人事業主の事業存続と再生、ひいては日本経済振興のため、インボイス制度実施の中止を強く求める」―。滋賀県甲賀市議会は12月22日、12月定例会で「インボイス制度の実施中止を求める意見書」を採択し、国に送付しました。草津甲賀民商がインボイス制度の実施中止に向け地元議員と懇談会を開くなど結束を強め、意見書を提出していたもの。東近江市、野洲市に続いて、県内で3自治体目の採択です。
会派超えたつながり強め 「中小業者の存続のため」
本会議では公明党や誠翔会の議員から「インボイス制度は複数税率に対応し、正確に(納税を)求めるのが第一の目的」「インボイスを発行するための事務負担や費用がかかるなど、感情的には理解できるが、大多数の免税業者は益税を得ていて不公平」などの反対意見も出ましたが、田中新人議員(凛風会)や西山実議員(共産)が反論。
「インボイスは、税務署に登録した課税事業者だけが発行できる。課税事業者になったら、赤字でも身銭を切って消費税を納めなくてはいけない」「コロナ禍で経営難に苦しみつつ事業を継続し、雇用を維持している中小業者に、インボイスでさらなる負担が課せられれば、廃業が増加し、経済の再生を阻害しかねない」「地域で中心的な役割を果たす中小業者の事業存続のため実施中止を強く求める」と述べ、採択されました。
商議所保守議員に
意見書採択に向けて11月15日、民商が受け持つ草津、栗東、守山、野洲、湖南、甲賀の6市から日本共産党の市議を招いて懇談会を開催。21人が参加し、「インボイス制度で中小業者の営業にどのような影響が出るか」「野洲市議会の採択で、民商の役員や日本共産党の議員が各議員にどう働き掛けたのか」などを交流しました。
工藤義明・前野洲市議は「日頃から会派を超えた議員同士のつながりを大事にしてきた。インボイスの意見書採択では、商工会の役員をしている保守系議員もおり、日本商工会議所も懸念の声を上げていると請願趣旨に書かれていたことから対話ができ、賛同を得られた。請願内容も他会派が受け入れられる表現に直すなど、合意を重ねてきた」と報告。甲賀市での意見書採択も、交流会で出された経験が生かされました。
大西秀治会長=電気工事=は「要求実現のため、日頃から地元の議員や他団体と連携することが大事だと実感した。今後もさまざまな団体、議員と交流を深め、運動を前進させたい」と決意しています。