確定申告書にもマイナンバー欄「未記載も受理、罰則なし」|全国商工新聞

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わたしも”マイナンバー不提出宣言”

「番号なくても受け付ける」

 今年の確定申告書では、納税者本人のほか、配偶者や扶養親族、事業専従者の個人番号欄が新設され、記入が求められるようになりました。
 税務署の「確定申告の手引き」では、表紙の下半分を制度の説明に割き、「平成28年分以降の所得税等の確定申告書には、マイナンバー(12桁)の記載+本人確認書類の提示又は写しの添付が必要になります」と明記。マイナンバーカードの写しや、番号確認書類と身元確認書類の写しを添付する台紙も備え付けています。
 これだけを見れば、“マイナンバーは書かなきゃいけない”と思い込んでしまいますが、税務署は、もう一つの重要な事実を伏せています。
 それは、全国中小業者団体連絡会(全中連)や全国商工団体連合会(全商連)がこの間、国税庁や厚生労働省、内閣府などとの中央省庁交渉で繰り返し確認してきた「マイナンバーは未記載でも受理する。罰則や不利益はない」との公式回答です(下の図)。
 各地の民商や県商工団体連合会(県連)は、マイナンバーの学習会や相談会を開催。「マイナンバーを提出しない旨の宣言書」を提出する取り組みを広げたり、各地の税務署や自治体と交渉して、「マイナンバーを提出しなくても書類は受け付け、不利益や罰則はない」ことを確認しています。
 マイナンバー以外でも、税金や融資、経営、払いきれない国保・社会保険料など、営業と暮らしの相談は、何でもお気軽に、自営業者の力強い味方=民商へお寄せください。

各地の民商で相談・学習し不安解消

 今年から、確定申告書にマイナンバー(個人番号)の記入欄が新設され、税務署の手引きなどには「番号記載が必要になる」と強調され、納税者に不安が広がっています。各地の民主商工会(民商)は、「(記載しなくとも)罰則はない」「受理する」(国税庁交渉)との運動の成果を班会で学んだり、マイナンバーを提出しない旨の宣言書を提出、制度の中止・廃止を求める署名運動などに取り組んでいます。

提出しない「宣言書」=沖縄民商

新垣美津枝さんの手記

夫とハウスメンテナンス業を営んでいます。年金の受給手続きのために以前、勤めていたところの年金共済に行ったら「マイナンバーを提出しないと受給できない」と言われ、びっくり。商工新聞で勉強していたので「個人情報の保護が心配だから提出したくない。不利益はないはずだ」と言っても「義務だから」の一点張りでした。
 民商に相談して「マイナンバーを提出しない旨の宣言書」(全商連HPからダウンロード可)を一緒に作って提出。無事、年金を受け取ることができました。読谷支部の仲間にも宣言書を紹介すると、「窓口でうまく説明できず、困っていたので助かった」と好評です。

制度廃止へ運動

 沖縄県連が開いた浦野広明税理士のマイナンバー対策学習会で、安倍政権がマイナンバーで国民統制を行い、徴税を強化して「戦争する国づくり」をめざしていることなどを学び、きっぱり拒否していくことへの確信が深まりました。
 3・13重税反対全国統一行動で、確定申告書のマイナンバー記入を一斉に拒否したら、きっと大きな力になります。制度の中止・廃止まで、頑張りましょう。

私はマイナンバーを提出しない旨の宣言書(PDFデータ)
私はマイナンバーを提出しない旨の宣言書(Wordデータ)

「不利益なし」に安心 班会で対応交流=長崎・島原民商

 マイナンバー制度が何のために作られ、誰が得する制度か、しっかりつかもう―。長崎・島原民商島原支部新湊班は16日、会員の食堂で班会を開き10人が参加。マイナンバー対応がよく分かる全商連「春の運動DVD」を視聴、「自主計算パンフレット」を読み合わせ。マイナンバーによる徴収強化で「戦争する国づくり」の財源を生み出そうとする目的や狙いを学習しました。

番号迫る動きも

 下田公之支部長・班長=自動車販売=が、長崎県連の学習会「自主計算と確定申告&マイナンバー」で学んだことを報告。生命保険会社から何度もはがきが届いた▽市の子ども支援課から児童手当、子ども医療費福祉助成の申請で求められ提出▽農協の定期預金の解約で「マイナンバーがないと解約できない」と言われ提出してしまった―事例が紹介され、「民商で“出さなくても受理されるし、罰則がない”と知って、悔やんだり、怒ったりしている」と述べました。
 高原芳子さん=縫製=は「確定申告にマイナンバーが必要だと思い、顔写真を撮って準備までしていた。確定申告書にマイナンバーを書かなくても受理されるし、罰則もないと分かって安心した」とにっこり。
 東江智世さん(仮名)=寝具販売=は「生命保険会社がマイナンバーを記入するよう何度も書類を送ってくる。番号を書かなくても不利益はないと分かり、ホッとした」と話していました。

マイナンバーで申し入れ「未記載も受理し不利益なし」徹底を

 マイナンバー(個人番号)の取り扱いについて、各地の民主商工会(民商)は税務署や自治体に申し入れ、「記載がなくても書類を受理し、罰則や不利益がない」などの言質を勝ち取っています。また、「番号を記載しないと書類は受け付けられない」など間違った対応にも抗議し、対応を正して書類を受理させています。

申告書記載求めず 交渉で税務署明言=福井・敦賀民商

 福井・敦賀民商は13日、敦賀税務署と交渉し、「確定申告書にマイナンバーの記載を求めない」ことなどを申し入れました。中嶋建治民商会長や高城護県連副会長など4人が参加しました。
 総務課長は「確定申告書にマイナンバーが記載されていなくても受理するし、罰則や不利益はない。(このことを納税者に)説明することは検討する」と答えました。また、郵送やe-Taxでの提出についても「番号が記載されていなくても受理する。罰則や不利益はない」と答えました。
 また、大勢の人が申告書を提出する時にマイナンバー漏えいが危惧されることについて、同課長は「私的な見解だ」と述べた上で、「記載がある人とない人で別々に対応する。記載のある人はしきり板をもうけた場所を用意することを検討している」と回答しました。
 中嶋会長は「マイナンバーを不記載で提出する人は罰則や不利益がないか心配している。『罰則や不利益はない』と説明すべき」と強調。「申告書を郵送で送る場合、書留でなければマイナンバー漏えいの危険性がある。書留にすれば財政上の負担も大きくなるのでマイナンバーの記載は求めるべきではない」と強く要請しました。
 20日には敦賀市役所へも申し入れしました。

抗議し受理させる 税務課長が謝罪=群馬・多野藤岡民商

 群馬・多野藤岡民商では5日、法人会員から「市の税務課に給与支払報告書を提出に行くと法人番号を書くように言われ、報告書を受けとってもらえなかった」との電話が入りました。
 もう一度窓口に行くように伝えると、法人会員から再度「受け取ってもらえなかった」との電話が。民商事務局員が「なぜ受けとってもらえないのか」と質問すると、担当者は「書いてもらうのが義務」と繰り返しました。
 課長が不在だったために市民環境部に電話を入れ、「税務課は法人番号が書いてないと書類の受け取りを拒否するのか」と抗議。担当者は「受け取ることになっている。すぐに対応する」と答えました。その後、法人会員から「報告書をようやく受け取ってもらった」と連絡がありました。
 その日の夕方、事務局員が再度税務課に電話をしたところ、課長が「私の指導不足で申し訳なかった。よく指導しておく」と謝罪。「窓口に法人・個人番号の記入がなくても書類は受け付けしますと張り出してほしい」と要望すると、課長は「そのことも含めて検討する」ことを約束しました。

強要実態訴え是正 本紙示して要請=鳥取民商

 「マイナンバーの記載をしつこく求められた」などの声が上がる中、鳥取民商は6日、鳥取市に電話を入れ、マイナンバーの取り扱いについて確認しました。「国税庁や内閣府はマイナンバーがなくても書類は受理すると言っている。市の窓口でマイナンバーの記載を強要しているのはおかしい」と訴えましたが、窓口では分からない様子で商工新聞の記事などをファクスしました。
 また、マイナンバーを担当する総務課にも電話を入れ、説明を求めたところ「マイナンバーの記載はお願いしているが、書きたくないという場合は、強要せず受理している」と回答。「現場の窓口では強要しているという話を聞いているので、対応を徹底してほしい」と要望しました。
 その後、源泉徴収票を提出に行った青木二三子婦人部長から「来年からはマイナンバーを記載してくださいと言われたけれど、受理してもらえた」との連絡がありました。
 民商では今後、市交渉を行い、対応を再度確認するとともにマイナンバーの中止・廃止を求める運動を強めようと話し合っています。

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