「商工新聞の記事に励まされ、民商に入っていたから頑張れた。諦めず、本当に良かった」―。約3カ月にわたり13回の不備メールが乱発された、大阪・豊中民主商工会(民商)のKさん=美容院=は8月11日、国の一時支援金の給付決定通知を受け、「不備ループ」状態から抜け出しました。20日に30万円が振り込まれたKさんの、不備解消の経緯と喜びの声を紹介します。
現金取引中心の困難乗り越えて
カット専門の美容院を営むKさんは、コロナ禍で売り上げが激減。持続化給付金などを活用しようと、昨年10月に入会しました。しかし、長引く外出自粛の影響で売り上げは戻らず、4月30日に一時支援金を申請。
申請後「売り上げにかかる請求書・領収書またはレジ等の記録を添付」と最初の不備メールが送られてきました。現金取引が中心で請求書やレシート、領収書は発行しておらず、売り上げを確定する根拠は、自ら付けている帳簿のみだったKさん。どういった書類が必要か分からず、コールセンターに事情を説明すると「2019年と20年の1~3月の店舗家賃の振り込みが分かる通帳のぺージ」「同期間の売上帳」「営業許可証」を添付するよう指示され、再申請しました。
しかし再度、不備メールが。コールセンターに問い合わせると「売り上げを確定する資料を」「経費の領収書を全て添付してみては」「提出した書類で審査を希望する旨の状況説明書を」「店の賃貸契約書や外観写真に加え営業許可証を添付するのはどうか」など、追加書類が次々と変わる上に、売り上げに関係ない書類まで提出を求められ、書類を提出しては同様の不備メールが返ってくる、という繰り返しに。
コールセンターへの問い合わせでは、「状況説明書など、審査部は読まないから添付しないように」と言われることもあれば、「審査部に確認して、これまでの経緯を残しておく」と言われ、後日問い合わせると「審査部から返答をもらう約束などありえない」など、ちぐはぐな回答も。
中企庁交渉でも要請書を提出し
Kさんは「ここまできたら、とことん頑張ろう」と、民商で相談を重ね、7月14日と8月5日に全国商工団体連合会(全商連)が行った中小企業庁交渉に「審査に関わる情報提供を求める要請書」を提出する一方、粘り強く書類を出して再申請しました。
中企庁交渉後、「経費帳2年分全てのページを添付するように」と、これまでと違う不備メールが来たため、帳簿を添付して再申請すると、ようやく給付決定となりました。
Kさんは「商工新聞の記事で、同じように頑張っている人がたくさんいることを知った。民商に入って『僕も一人ではないんや』と思ったから頑張れた。諦めなくて本当に良かった」と笑顔で話しました。