連携強め森林資源の循環を
住宅建設に欠かせない構造用集成材の不足が問題になっています。ところが、わが国は利用期に達した多くの人工林資源を有しており、これを有効に活用することができれば、世界的な需給の影響を受けることなく、木材需要に応えていくことができます。
木材需要量は、1973年をピークに減少傾向です。今後、急速な高齢化と人口減少が進むことが予測される中、国産材供給力の拡大期を迎えます。また、国産木材製品は輸入製品との厳しい価格競争にさらされています。
木材資源は持続可能な資源で、関連産業は伐採、運搬、加工にとどまらず、家具の製造・販売、住宅建築などと裾野の広い産業です。地球温暖化が進む中、森林は、環境保全や国土保全の上でも重要な役割を持ちます。
ところが、日本の山林は小規模な上、急峻な斜面が多く、木材の伐採・搬出などにコストがかかるという特性を持ちます。林業が競争力を持つためには、森林所有者と林業経営者、木材加工業者、流通業者、木材の需要者といった「川上から川下」(図)に至る多様な主体の連携が必要です。いま、製材工場などの新たな担い手の参入が動き始めています。中国木材株式会社の取り組みもその一例で、サプライチェーンの再構築につながる事例といえます。
政府は2018年、森林経営管理法を制定し、森林所有者が経営管理できない森林管理の委託を市町村が受け、意欲ある経営者に再委託し、経営の集積・集約化を図るなどの新たな管理制度も創設しています。林業と木材関連産業が連携し「切る、使う、植える」の資源循環を通じ、長期的な視点から地域経済の重要な柱として再生・活性化を図ることが求められます。