6月に入り、市区町村から国民健康保険(国保)料・税の納付書が加入世帯に届き始めます。今でも国保料・税が高額なのに、さらなる値上げ圧力が高まっています。
財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が先ごろ、財政健全化の建議をまとめました。国保料・税の負担を軽減するため市町村が行う「法定外繰り入れ」の解消を急ぐこと、国保都道府県化による「保険料水準の統一化」が明記されています。財政健全化の名の下に、コロナ禍でも「医療費適正化」、すなわち医療費の削減を至上命題とし、高齢者の医療費窓口負担2倍化、病床削減を推進することと一体の動きです。
国保はこの間、加入者の約4割が無職者となるなど、大きく変化しています。医療費を加入者の保険料負担で賄うのは無理が生じています。国はこの間、医療費に対する国庫負担を45%から30%程度まで引き下げ、これらが国保財政を圧迫しています。
厳しい国保の現状から、全国知事会は1兆円の公費投入を求めています。全商連も制度改善を求め、国庫負担を引き上げ、応能負担の原則を強化するなど、社会保障として抜本的な改善を「7つの提言」にまとめています。
新型コロナ対策として、傷病手当金がつくられ、コロナ特例減免で多くの加入者が救われました。しかし、傷病手当を事業主やフリーランスを対象にしているのは、わずかな自治体です。特例減免では、多くの自治体で国の財政支援を引き下げる仕組みも導入されました。人頭税ともいわれる子どもの均等割の減免、資格証明書の発行を停止するなどの改善を行った自治体もあるだけに、国が制度改善の先頭に立つべきです。
全商連共済会への新型コロナ感染による入院請求では、4割が入院できず、自宅などでの療養となっています。医療がひっ迫する中、求められるのは医療体制を充実し、国民に安心を届けることです。
昨年、コロナ禍でも国保料・税の値上げを実施した自治体は400を超えました。自治体への要請・交渉と併せて、国保料・税負担、窓口負担を軽減し、「安心して医療にかかれる国保制度に」と声を上げることが重要です。