トランプ関税 経済や暮らし守る万全の対策を|全国商工新聞

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 トランプ米大統領が世界の国や地域を対象に、一方的に高い関税を課したことで動揺が広がっています。貿易戦争に発展して景気の後退を招くことを懸念した株式市場は、一時、世界同時安に陥りました。トランプ大統領は、一転して90日間の「関税措置の停止」を発表しましたが、収拾の見通しはつきません。日本経済や暮らしへの悪影響も想定され、未然に防ぐ万全の対策が必要です。
 米国はこれまで、低賃金や低税率を求めて海外に進出する多国籍企業を、もうけさせるための「自由貿易」体制を推進してきました。その結果、多国籍企業に莫大な利益をもたらす一方で、米国内の産業の空洞化と雇用の破壊を招き、世界中の貧困と格差も広げました。トランプ関税は、米国内の産業の衰退を自ら招いておきながら、その原因を”貿易の不公平”に責任転嫁する身勝手極まりないものです。日本政府は、トランプ関税に毅然と抗議し、撤回を求めなければなりません。同時に、各国の経済主権や食料主権を尊重し、多国籍企業の横暴を規制するために、国際協調にも力を入れるべきです。
 新型コロナ禍に続く物価高で中小業者が苦しむ中、トランプ関税による、さらなる悪影響が懸念されます。政府は、米国への輸出量が多い自動車関連の事業者と意見交換し、対策を検討するとしていますが、影響を受けるのは自動車業界だけではありません。米国向け製品の部品などを担う製造以外にも、サービスから食品関係まで、幅広い業種が危機にさらされます。今こそ、トランプ関税や物価高騰の危機に対して一番の対策となる「消費税減税」を実施すべきです。無利子・無担保で長期返済の融資制度を実施して業者の資金繰りを支援し、雇用対策として雇用調整助成金の拡充や社会保険料の減免などの緊急措置も必要です。
 「自国ファースト」を貫くトランプ氏によって、米国は同盟国からも信頼を失いつつあります。米国言いなりに、軍拡を進め、米軍基地の居座りを認める日本政府の姿勢も問われる状況です。これを契機に、平等、友好の日米関係に切り替え、経済主権を尊重する公正な貿易ルールの構築をめざし、他国との協調を強めるべきです。

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