オーバーツーリズム学び考え|全国商工新聞

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京都・東山民商など
「オーバーツーリズムにどう向き合うか」がテーマの学習交流会には14人が参加しました
2019年の「何でも探検隊」

 「『住んで良し、訪れて良し』の京都市・東山を」―。京都・東山民主商工会(民商)も加盟する「いいまちねっと東山」は3月23日、京都市内のオーバーツーリズム(観光客の過度の集中による悪影響)を考える学習交流会を「やすらぎ・ふれあい館」(東山区)で開催し、東山民商の2人を含む14人が参加しました。
 今回は、かねてより問題になっている京都市への外国人旅行者の増加について考えようと「オーバーツーリズムにどう向き合うか」をテーマに学習・意見交換会を開催しました。神戸松蔭女子学院大学元教授で、京都自治体問題研究所理事の中林浩さんが講演。訪日観光客増加の背景について、「先進国と中進国の経済格差の縮小」「日本の社会(または景観)の魅力がなお大きいこと」があり、中国人1人当たりのGDPが今後より高まると予想されることを踏まえ、「日本への観光客は引き続き増加することが考えられる」と指摘。増え続ける外国人観光客への対策として、景観や文化財のより厳格な保全や、観光の質を高めるために世界遺産を拡充し、規制強化することなどを提案しました。具体例として「認証ガイド制度」や観光の予約制、駐車場規制などを挙げました。大きな課題として、宿泊施設の総量規制、市民生活を守る観点からの交通対策など、複合的・多面的な対策が必要だと強調しました。
 京都市の観光政策はこれまで、国と同様に「観光入込客数」を増やすことが中心とされてきました。オーバーツーリズムによるさまざまな弊害が明らかになっても適切な対策を打たず、ホテル建設を推進してきました。オーバーツーリズムは、東山で暮らし、商売する私たちだけでなく、観光客がくつろぎ、楽しむことも損なうものです。「いいまちねっと東山」では「住んで良し、訪れて良し」の東山にしていくため、今後とも学習・交流していくことにしています。

いいまちねっと東山

 「誰もが生き生きと働き暮らし続けられる東山のまちづくり」という目的に賛同する個人や団体が参ら加するネットワーク。祇園の繁華街や清水寺などの観光地を有する京都市東山区の地域を、自分たちの足で歩き、見て、知って、体験する「何でも探検隊」の取り組みを中心に活動。これまで、交通渋滞、バス停、公衆トイレ、防災、地震・水害・避難所の調査などに取り組んできた。

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