
全国商工団体連合会(全商連)も加盟する「原発をなくす全国連絡会」は7日、東京都内で学習会を行い、オンラインも含めて190人が参加しました。講師は、2014年に関西電力大飯原発の運転差し止め判決を下し、「原発を止めた裁判官」として知られる樋口英明さん(17年に定年退官)。今年1月に出版した『原発と司法国の責任を認めない最高裁判決の罪』(岩波ブックレット)の内容に沿って講演しました。
日本では、地裁・高裁の大半が原発再稼働を認める判決を下し、正面から脱原発を掲げる政党も少ない中、石川県珠洲市で原発立地を止めた運動を一例に「脱原発は、市民運動でないと、うまくいかない」と指摘しました。
「原発の問題は難しい」「それなりに安全に造られている」という「思い込み」を打破するためには「原発の二つの本質、すなわち①常に管理し続けなければならない②人が管理できなくなった時の事故の被害は想像を絶するほど大きい―を理解すればいい」と提案。自動車や工場の機械のように「何か不具合が起きたら、止めればいい」が通用しないのが原発であり、一度の事故で失われるコストは計り知れないと強調しました。
原発は「自国に向けられた核兵器」であり、「エネルギー問題」ではなく「国防問題」として語るべき、と指摘。福島原発事故における国の責任を認めない最高裁判決は、法律解釈を放棄し、高裁と違う事実を認定し、四日市ぜんそく訴訟判決が定めた「高度の防止措置の義務」規定を自ら破るもので「裁判官の能力と資質を欠く判決と言わざるを得ない」と厳しく批判しました。
最後に「まずあなたが身近な2人に、今回の話をしてほしい。その2人がさらに広げていくことで、社会を変えられる。脱原発運動を推進し、最高裁判決をひっくり返そう」と締めくくりました。
全日本民医連事務局次長・木下興さんが行動提起。樋口さんの著書『原発と司法』の普及▽6月16日に最高裁を取り囲む「ヒューマンチェーン」への積極参加▽2026年1月末までに、50万人分を目標に進めている「原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を求める請願」新署名を広げる―ことを呼び掛けました。