「申告書の収受印廃止するな」
「物価高に苦しむ中小業者の営業と生活を守るため、消費税の税率を5%以下に引き下げ、インボイス(適格請求書)は直ちに廃止!」「税務署は、確定申告書控えに今まで通り、収受日付印を押せ!」―。第56回3・13重税反対全国統一行動が13日を中心に全国約578カ所で取り組まれ、民主商工会(民商)会員ら約6万3千人が参加しました。消費税のインボイス制度強行による新たな税負担や、長期化する物価高騰に営業と暮らしの危機が広がる中、無為無策の石破茂・自公政権への怒りを街に響かせました。国税庁は1月から、「デジタル化」を口実に確定申告書控えなどへの収受日付印の押印を廃止。納税者を孤立させ、電子申告(e―Tax)へと誘導する中、「納税者の権利を守れ」と押印継続を求める請願書を提出したり、申告書提出を証明する自衛策として原本と控えに割り印を押すなど工夫を凝らして”全納税者の一大決起の場”として、全国津々浦々で声を上げました。
大軍拡・金権政治ノー 中央各界代表者集会

「大軍拡・金権政治NO!消費税減税、インボイス(適格請求書)廃止!憲法に基づく税制・税務行政の確立へ全納税者が声を上げよう」―。全国商工団体連合会(全商連)も加わる3・13重税反対全国統一行動中央実行委員会は13日、衆院第一議員会館で「第56回重税反対中央各界代表者集会」を開き、59人が参加。終了後、財務省と国税庁に、民主的な税制・税務行政の実現を要請しました。
全商連の太田義郎会長が主催者あいさつ。「昨年末、埼玉県議会では自民党が主導して『インボイス廃止を求める』意見書が可決された。私たちの『インボイス廃止、消費税減税を求める』統一署名の紹介議員も共産、立民、国民、社民、れいわ、沖縄の風など8会派に広がっている。政治が国民の意思で変わろうとしている」と指摘。「石破政権は大軍拡を進め、米トランプ政権は軍事費をGDPの3%にするよう求めている。歴史的転換点に立つ今、『大軍拡やめよ』『消費税減税、インボイスは直ちに廃止を』と、中小業者・国民が総団結して、この状況を乗り越えよう」と訴えました。
立命館大学の望月爾教授が「税と社会保険負担のあるべき一体改革―所得税と社会保険料の統合」と題して講演。税と社会保険料を合わせた日本の国民負担率が増加する背景に、「逆進性を持つ社会保険料の急増がある」と指摘。「シャウプ勧告」で有名な米国のシャウプ博士がかつて「社会保険税」を提唱していたことや、所得税と社会保険料を統合し、事業者の社会保険料負担を無くしたオランダの税制改革を紹介しました。
「『103万円の年収の壁』の引き上げだけでは、国民負担増の問題は決して解決しない。医療や介護など社会保障費の増大で社会保険料が引き上げられる中、改めて税と社会保険料の関係の整合性などが議論になる」と述べました。
湖東京至税理士は「消費税は、減税・廃止させる以外に、皆さんを幸せにする道はない。税率の大幅引き下げ、その先の廃止を掲げて運動を大きくしよう」と呼び掛けました。
4団体の代表が発言しました。
「昨年4月1日に税務相談停止命令制度が施行されてから初めての確定申告を迎えた。”請負主義”に陥らず、自粛せず、この制度に怒りを持ち、他団体とともに税の自主申告権を守ろうと、学習会や説明会を開いてきた」(全国生活と健康を守る会連合会)
「物価高騰も3年目に入り、女性の貧困が深刻だ。高額療養費制度をはじめ社会保障の負担増、給付減が相次いで計画されている。命を守るのが大変な時代になってきた。税金は、軍事費ではなく、命や暮らしを守るために使い、ジェンダー平等をめざす政治に変えよう」(日本婦人団体連合会)
「岡山の倉敷民商弾圧事件は、消費税増税に反対し、納税者の権利を守り、強権的な税務調査や徴収に反対する民商の弱体化を狙ったものだ。35万人に迫った署名を進め、禰屋町子さんの無罪を勝ち取ろう」(日本国民救援会)
「税務署は今年1月から、確定申告書控えなどへの収受日付印の押印を廃止した。集団申告では、押印再開を求める個人請願を行っている。引き続き、再開を求める運動を盛り上げよう」(東京土建)
全労連の香月直之常任幹事が閉会あいさつ。「税金や社会保障の問題は、私たち労働者には、第2の賃金闘争というべき、たたかいだ。皆さんと連帯して、税と社会保障のたたかいに息を吹き込んでいく」と決意を語りました。
民主的な税制を確立し強権的な税務行政正せ

3・13重税反対全国統一行動中央実行委員会は13日、財務省と国税庁に、民主的な税制の確立と強権的な税務行政の是正を求めて要請しました。
基礎控除上げ消費税減税を 財務省
財務省では①所得税の基礎控除の抜本的引き上げ②消費税率5%引き下げとインボイス制度廃止③公的年金等控除の引き上げと物価高に応じた年金額を実現する財政支援―を求めました。
参加者は「与党が修正した『基礎控除引き上げ』は、複雑で、一人当たりの減税幅も小さい。基礎控除を抜本的に引き上げるべきだ」「公平性を言うなら、消費税こそ減税を」などと主張。年金者組合の代表は「公的年金等控除を引き上げるとともに、物価高に伴って、実質で年金額も上がるよう支援してほしい」と求めました。
省側は「消費税は社会保障を支える財源として重要であり、減税することは不適切だ」と拒否。いわゆる「年収の壁」について「160万円への引き上げは、東京23区の生活保護水準相当だ」と正当化しました。米トランプ政権が求める軍事費のGDP3%化については「個人的には難しいと思う」との見通しを示しました。
収受日付印の押印継続せよ 国税庁
国税庁では①確定申告書控えなどへの収受日付印の押印②呼び出し調査でも理由を明らかにし、納税者の理解と協力を得て進める③事業の継続を脅かす滞納処分を行わず、納税緩和制度を周知し、執行停止を積極的に適用する―ことを求めました。
参加者は口々に、収受日付印の押印を廃止した国税庁を批判。「税務行政のデジタル化」を口実に、押印廃止を正当化する庁側に対し「税務署が配布するリーフレットでは、収受日付印が押された『控え』の代わりにはならない」「現場で『押せ』『押さない』の混乱が起きている」などと抗議しました。
税や国保の負担重い 愛媛・今治地域集会 民商会員の7割が参加

愛媛・今治民商は13日、今治市公会堂で今治地域集会を開催。今治民商会員525人(2月末)の約7割に当たる365人をはじめ計380人が参加しました。御堂耕三会長=タオル縫製=は「造船関連の下請けで働く若手業者が会員の約4割、200人以上を占めている。”3・13に参加するため、仕事を休む”と親会社にも伝え、了解してもらっている。毎年、参加することが定着しているし、法人の会員にも参加を呼び掛けている」と高い参加率の理由を語ります。
提出日付印押し

市内の繁華街・松本町でスナックを営むNさんは「商売は大変な状況です。政府は『103万円の壁』の見直しを打ち出したみたいですけど、商売人の心には全く響きません」と困惑しています。「生活に追われていて、税金は正直、後回しです。やっぱり暮らしが成り立つようにしてもらいたい。大企業や大金持ちなど、たくさん持っているところから取ってもらいたいです」と話します。
「従業員の給与と税金のために働いているみたいだ」と話すのはMさん=造船関連=です。12人いる従業員の人件費、特に社会保険料が負担になっています。「自分自身は国民健康保険(国保)だけど、とにかく負担が重い。所得税や消費税も下げてほしい。インボイスがきっかけで廃業したところもたくさんある。制度が複雑で、分からないという取引先も多い。大企業の声ばかり聞かずに、いろいろなところに目を向けてほしい」と公平で簡素な税制を求めました。
確定申告書控えへの収受日付印の押印廃止への対応として、民商では提出日付印を作成。参加者は集会の受付後に、自ら申告書控えなどに「提出日2025年3月13日今治税務署あて」の印を押しました。
参院選向け決意
集会では、御堂会長が「政治への関心を高め、軍拡勢力ではなく、ブレない野党を応援しよう。自主申告を貫くため、共に頑張ろう」とあいさつ。
民商の田部浩三事務局長が、集会アピールを提案し、満場の拍手で確認しました。今治税務署に向け、「消費税率を5%に戻し、景気を回復させよう!!」「納税者の権利・自主申告を尊重せよ!!」などと書かれたプラカードを手にデモ行進。沿道に向けアピールしました。
集団申告の整理などで活躍した八木明利副会長=じゅうたんクリーニング=は「旧松山民商の今治支部の時代からの会員です。かつては毎年のように基礎控除が引き上げられていたが、いつの頃からか全く上がらなくなった。政府は生活費非課税の原則を投げ捨てている。大企業への補助や軍事費に使うのではなく、中小業者・国民の生活を守る政治に切り替えないといけない」と夏の参院選に向け、決意を語っていました。
納税者の分断許すな 滋賀・甲賀湖南集会 控えに割り印で対抗

「インボイスやめろ!」「裏金議員やめろ!」と声を響かせたのは、滋賀県甲か 賀市で12日に開催された「甲賀湖南集会」の参加者たち。草津甲賀民商や年金者組合、生活と健康を守る会などから約120人が集いました。
今年の確定申告は、国税庁が確定申告書控えなどへの収受日付印の押印廃止を決めて初めての集団申告となりました。
滋賀県内の各民商は、担当エリアの税務署に要請し、申告書の原本と控えに、提出した日付と税務署名を刻んだ割り印を押す自衛策を取ることにし、押印する場所を税務署に準備させました。
行進でアピール
「みなくるプラザ」(甲賀市)で開かれた集会では、県連副会長の陌間康弘さん=屋根工事=があいさつ。「政府は『デジタル化』の名の下に、収受日付印の廃止を決めたが、ハンコを廃止したところで、デジタル化が進むわけではない。狙いは集団申告をやめさせたり、委縮させて、納税者を個々バラバラにすることではないか。こうした納税者の権利と申告納税制度を脅かす動きに対して、機敏に声を上げていこう」と訴えました。田中孝行実行委員長=足場=は「納税者の権利を守る税務行政へと変えるためには、各団体を、もっと大きくする必要がある。民商も、会員一人一人が仲間を増やせるように力を合わせよう」と呼び掛けました。
集会後、「消費税5%減税」「STOP!インボイス」などの要求が書かれたゼッケン、のぼり旗でアピールしながら、水口税務署までデモ行進。通行人や車に手を振ってアピールしました。沿道の幼稚園では、園庭で遊んでいた子どもたちが「何をしてるのー?」と声を掛ける場面も。参加者は手を振りながら「一緒に歩かんかー」などと笑顔で応えていました。
役員で手分けし
水口税務署の駐車場には、テントと机が用意され、田中実行委員長ら役員が手分けして、参加者が持ってきた確定申告書をチェック。申告書の原本と控えに割り印をしました。割り印をしやすいように、申告書と控えを取り外して、それぞれホチキス止めしてきてもらうなど、事前に対応したことで、混乱なく進行しました。集会に参加した美容室経営者の女性は「物価高騰の影響で、仕事も、暮らしも本当に大変です。お客さんも、来店するペースを以前より抑えている。消費税を減税して、負担を軽減してほしい」と切実な声を寄せました。


地域で「実行委」結成 岐阜・飛騨民商など


岐阜・飛騨民商も加わる「3・13重税反対統一行動/飛騨地区実行委員会」は12日、3・13行動に取り組み、高山税務署が2階に入る合同庁舎(高山市)前の交差点でスタンディングを行いました。民商など5団体から26人が参加し、「消費税5%への減税を」「インボイスは廃止」などと道行く人々に訴えました。
民商はこれまで、単独で重税反対統一行動(集団申告)に取り組んできました。しかし、1月の役員会で「インボイス制度の大変さを、地域の皆さんにも、ちゃんと理解してもらいたい。そもそも税金問題を広く訴えるのは、民商の責任だ」などと話し合い、高山市内の5団体(年金者組合、農民連、地区労連、新日本婦人の会、共産党市議団)に呼び掛け、実行委員会を結成することに。2月18日の準備会には、6団体から8人が参加。3・13中央実行委員会の「アピール」を読み合わせ、民商の塚本勝会長=鉄骨積算=が、飛騨地域で3・13重税反対統一行動に幅広い団体で取り組む意義や具体的に何をするか、などを提案しました。
準備会では、年金者組合の代表から「年金の申告を毎年しとるが、税務署前のポストに申告書を入れとる」「収受日付印が、そんなに重要なのか?」などの疑問が出され、塚本会長らが一つ一つ丁寧に答えました。
12日には、スタンディングなどに取り組んだ後、税務署に集団申告。「3月12日/高山税務署提出」と記したスタンプを押印した確定申告書を提出しました。
意見書採択広げよう 埼玉・川口集会、戸田蕨集会
埼玉・川口民商は13日、「3・13重税反対全国統一行動」川口集会と川口、西川口両税務署(川口市)への集団申告を、民商と埼玉土建川口支部が中心の実行委員会で取り組み、約400人が参加しました。西川口税務署の担当地域になる民商の蕨支部は同日、蕨市内で開かれた戸田・蕨集会に34人が参加し、集団申告しました。
〈川口集会〉

川口集会では、民商の蒲生和久副会長=建設=が開会あいさつ。「世の中、おかしいことだらけ。皆で声を上げ、運動で変えていこう」と呼び掛けました。民商の岩瀬晃司会長・実行委員長=保険代理=は「埼玉県議会は昨年末、インボイス廃止の意見書を都道府県で初めて採択した。この勢いを全国に波及させ、インボイス廃止を勝ち取ろう」と訴えました。
デモ行進では「消費税5%に戻せ!」「インボイス制度は廃止せよ!」「申告書に収受印を押せ!」などとシュプレヒコールを響かせ、プラカード・のぼり旗などでアピールしました。
〈戸田・蕨集会〉
戸田・蕨集会は、蕨市南町の西仲公園で開かれ、埼玉土建蕨戸田支部、戸田民商、川口民商・蕨支部から全体で90人が参加しました。川口と西川口のそれぞれの税務署到着後、参加者が、敷地内に準備された行動参加者専用窓口で申告書を次々と提出しました。
裏金議員に課税せよ 鹿児島・奄美集会

鹿児島・奄美民商は雨模様となった13日、3・13重税反対全国統一行動・第54回奄美集会を名瀬公民館(奄美市)で開き、90人が参加しました。
濵田幸造会長=石材=が主催者あいさつ。「仕入れ・経費の価格高騰で、事業者の営業と暮らしは大変苦しくなっている。インボイス制度が始まってから企業倒産が激増している」と実態を告発し、「税金の集め方と使い道を変え、政治を変えていきましょう」と訴えました。
民商の岡田美幸事務局長は「地域事業者の営業と暮らしを守る運動の先頭に立ってきた民商を、力を合わせて、さらに大きくしていきましょう」と呼び掛けました。
参加者は「平和と暮らしのために税金使え」「消費税減税」「インボイス廃止」「裏金議員に課税せよ」との集会決議を採択。「消費税減税」「インボイス廃止」と声を上げ、大島税務署までデモ行進し、集団申告しました。