4日に衆院を通過した2025年度予算案は、歳出の合計が約115兆2千億円と、24年度当初予算比で約2兆6200億円の増額となり、3年連続で110兆円を超えました。
一般歳出68兆1千億円のうち、最も多いのは社会保障関係費で38兆3千億円弱(33.2%)。防衛関係費が8兆7千億円弱(7.5%)と初めて8兆円を突破しました。そのほか、国債の償還費用等に28兆2千億円余(24.5%)、地方交付税交付金等が約18兆9千億円(16.4%)です。
22年度から5カ年計画で始まった大軍拡は、7500億円の増額です。石破茂首相は、自衛官の処遇改善を強調しますが、この3年間で増加した3.3兆円のうち、人件・糧食費は1800億円弱しか増えておらず、不要不急の長射程ミサイルなど、米国製兵器の購入や、基地強靭化などが多くを占めています。中小業者の営業と国民生活が危機に瀕している今こそ、大胆に減額し、物価高対策などに振り向けるべきです。
24年度に設けられていた「物価・賃上げ促進予備費」1兆円は丸ごと無くなりました。社会保障費は約7700億円増ですが、自然増分を1300億円削減。その中には高額療養費の見直し200億円が含まれますが、石破茂首相は参院選への影響を恐れて、実施判断を8月以降に先送りする方針を示しました。
日本維新の会との修正合意で「高校授業料無償化」に1千億円が盛り込まれました。一方で、国立大学法人の運営費や私立大学への補助は前年比ほぼ据え置き。東京大学など各地で相次ぐ学費値上げに歯止めをかけず、各党が総選挙公約に掲げた高等教育無償化に足を踏み出そうとしません。
歳入は、税収が77兆8千億円。うち消費税収を24兆9千億円(21.6%)と見込み、過去最高となります。法人税は19兆2千億円余(16.7%)です。所得税は課税最低限の見直しにより、22兆7千億円弱(19.7%)となります。
円安による長引く物価高騰が国民生活に影響を与える下で、消費税の減税とインボイスの廃止が緊急に求められています。その財源は、大企業と富裕層に応分の課税を行うことで十分に賄えます。
