

「原発も、核兵器もない平和な世界を」―。「2025核兵器廃絶を求める原発被災地集会」が11日、福島県楢葉町の宝鏡寺で開かれました。主催は「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマを結ぶ『非核の火』ともを灯す会」。政府が第7次エネルギー基本計画で原発の「依存度を低減」を投げ捨て、「最大限の活用」へと方針転換したことを受け、全国から過去最多の186人が参加。原発事故の悲惨さを改めて確認し、基本計画撤回を求め、行動を強めることを誓い合いました。
参加者は、地震発生時刻の午後2時46分、サイレンに合わせて犠牲者に黙とうを捧げました。本紙3月10日号1面に登場した福島・相双民主商工会(民商)の馬場靖子さん=元畜産・稲作=が「ふたつの古里に心を寄せて」と題して講演。原発事故前、浪江町津島に暮らしていた馬場さん。教員を退職後、趣味で始めた「カメラ」で撮影した原発事故前と事故後の津島地区の写真を手に、古里を奪われた思いを語りました。「うちの田んぼには柳の木が育ってしまった。もうコメは作れない。高齢で亡くなった仲間もたくさんいる。環境省の役人が私たちに言った『100年は戻れない』という言葉は忘れられない」と失ったものに思いをはせました。
「灯す会」の伊東達也共同代表は、いまだに5万人を超える住民が帰還できず、水稲収穫量は事故前の7割にとどまるなど、14年が経過しても、なお苦しむ福島県民の現状を告発。「事故が起きなければ、生まれなかった苦しみだ。原発の『最大限』の活用は、事故を繰り返す危険性を『最大限』に高める。エネルギー基本計画撤回運動を起こそう」と訴えました。
集会を共催した「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」の事務局長を務める、いわき民商の丹治杉江さん=ワープロ修理=が閉会あいさつ。「フクシマを教訓にすると言い続けてきた政府が、エネルギー基本計画で原発の最大限の活用を打ち出した。原発は核兵器と一体のもの。日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞した今こそ、原発は無くさなければならない。事故が起これば、全ての生活が奪われる。全国で声を上げ続けよう」と呼び掛けました。
被爆地・広島、長崎の両市長などからメッセージが寄せられました。