「免税事業者等の小規模事業者におけるインボイス制度導入に係る実態を把握すべく」実施された経済産業省・中小企業庁の2024年度「インボイス制度導入に係る取引実態調査」に不備が発覚し、昨年12月初旬以降、調査が中止になりました。消費税のインボイス(適格請求書)制度が強行されてから1年以上がたつのに、苦境に陥る中小業者の実態を政府がいまだに把握していないことが明らかになりました。
「現在アンケートの回答受付を停止しています」―。中企庁のインターネット上の「令和6年度『インボイス制度導入に係る取引実態調査』を実施しています」(昨年12月3日更新)のページは、こう表示されたまま、3月10日時点も放置されたままです=写真。

同調査は昨年8月に、一般競争入札で1100万円で落札した「(株)エーフォース」(福水隆介・代表取締役)が調査票の送付や回収・集計業務を担い、昨年10月22日から実施していました。アンケートの不備は、「誰でも回答できるようになっている」との情報が昨年12月ごろ、小池晃参院議員(共産)の事務所に寄せられたことから発覚しました。
同庁は12月25日、小池事務所に回答フォームの不備を認め、その後、「12月6日付で同社との契約を解除し、改めて実態調査を行うことになった」と報告しました。しかし、3月10日時点でも調査は再開されていません。
全国商工団体連合会(全商連)も加わる全国中小企業団体連絡会(全中連)は2月5日の省庁要請で、経産省・中企庁に対し、インボイス制度未登録の免税事業者に対する「実態調査と指導を強化すること」を要請しています。
元中企庁長官の親族企業が受注
中企庁が契約解除した「(株)エーフォース」が、元中企庁長官の福水健文氏の息子が経営する企業であることが明らかになりました。「インボイス問題検討・超党派議員連盟」が1月28日に行った同庁への聞き取りで認めたもので、父・健文氏が同社の顧問を務めていることも明らかにしました。
今回の調査について、そもそも公平公正な入札が行われたのか、との疑念も生じています。