自公維の医療費4兆円削減合意 「医療崩壊」必至、命守る予算に|全国商工新聞

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 政府の2025年度予算案が4日、衆院を通過し、参院に送られました。自公与党と密室協議の末、支持率低迷に悩む維新が、高校授業料の「無償化」と医療費の年4兆円以上の削減を条件に、予算案の賛成に回り、社会保障削減の協議体設置にも合意しました。
 25年度の予算案は、軍事費8・7兆円の異常な大軍拡、「凍結」したものの高額療養費の患者負担増、一部半導体企業への莫大な補助金など、国民・中小業者には、容認できない施策ばかりです。維新が自公政権の延命に加担したことは、総選挙で示された民意への裏切りです。
 深刻な「医療崩壊」を引き起こした06年の小泉構造改革では医療費が1兆円削減され、妊婦の「たらい回し」や救急患者の「受け入れ拒否」などを招きました。その4倍もの医療費抑制は、国民皆保険制度の下、誰もが安心して医療を受けられるようにする国の責任を投げ捨てるものです。日本医師会の松本吉郎会長も「非現実的で、無理な話だ」との認識を示しました。
 自公維3党は、4兆円の医療費削減のため、26年度からのOTC類似薬(処方箋が必要で、市販薬と効果や副作用などの性質が似る医薬品)の保険適用見直しも合意しています。保険から外せば、例えば、解熱鎮痛薬「カロナール」の自己負担は、処方の1錠1・8円から市販の88・9円へと49倍に。日本医師会は「市販薬は処方薬に比べて価格が高く設定されており、特に経済的に困窮している人々の負担が増えてしまう」と懸念を示し、日本薬剤師会も反対を表明しています。そもそも処方医療には、症状が軽微でも医師の診断で重篤な病気の早期発見につなげることが期待され、市販薬の安易な服用にはリスクも伴います。
 カネ次第の市場原理を医療・介護分野に持ち込むのではなく、大企業や富裕層を優遇する税制と大軍拡にメスを入れ、国民の命を守り、医療や暮らし優先の政治への転換が求められています。物価高騰に加え、社会保険料や国民健康保険(国保)料・税の徴収強化で苦しむ国民・中小業者に対し、国保の国庫負担を増やし、小規模企業の社会保険料負担の軽減策実行と減免制度を創設することが必要です。

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