確定申告のワンポイントアドバイス⑭「3・13重税反対全国統一行動」|全国商工新聞

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 「少数与党」という新たな国会情勢の下、所得税の基礎控除引き上げや消費税の減税とインボイス(適格請求書)制度廃止など、中小業者や国民の切実な要求を実現する可能性が大きく広がっています。
 昨年の総選挙での与党大敗は、「苦しい生活、裏金が怒りの引き金」(「毎日」)となり、国民が厳しい審判を下したものでした。ところが、そうした声に耳を貸さず、裏金事件の解明をなおざりにし、大軍拡と、その財源確保のために、高額療養費引き上げなどの社会保障改悪と大増税に突き進む政府・与党に、納税者の怒りが沸き上がっています。
 2023年10月に強行された消費税インボイス制度は、中止を求めた中小業者やフリーランスらが懸念していた通り、インボイスを登録しない免税事業者に対する取引排除や消費税分の値引き要求などを招き、登録した課税事業者には新たな消費税負担と事務負担を強いました。消費税負担の押し付け合いが、業者間の分断と対立を招いています。
 各地で広がるインボイス制度への怨嗟の声は昨年12月、埼玉県議会で自民党が主導する「インボイス廃止を求める意見書」が賛成多数で可決されるなど、新たな動きを生み出しています。
 税務行政のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を口実に、納税者が個々・バラバラに電子申告(e―Tax)するよう誘導され、納税者の権利と申告納税制度が脅かされています。
 国税庁は1月から、確定申告書控えなどへの収受日付印の押印廃止を強行しました。押印継続を求める中小業者らの運動に押され、庁側は「行政機関や金融機関に、収受日付印が無くても受け付けるよう要請した」と説明してきました。ところが、実際には「保育所、中小企業退職金共済制度、出入国在留管理局で『収受印がない控えは受け付けない』と言われた」(福岡県)、「市営住宅の減免申請で『収受印のある申告書控えが無ければ納税証明書を出すように』と言われた」(神戸市)など、国税庁の「要請」は徹底されていません。
 「税務署で納税相談ができなくなった」「申告書や納付書が届かない」などの声も上がっています。デジタル化を口実とした納税者サービスの後退は許されません。
 各地で、人権無視の税務調査や強権的徴収、差し押さえが相次いでいます。一方で、中小業者同士が学び合い、声を上げ、税務当局の横暴に毅然と立ち向かう中で、当事者本人が納得いく解決を勝ち取る事例も生まれています。今年で56回目を迎える「3・13重税反対全国統一行動」は、重税に反対し、税金の集め方と使い道を正す納税者の決起の場として発展してきました。昨年は全国548カ所、6万5777人の参加で取り組まれ、「税金は軍拡ではなく、被災地支援に使え」「裏金議員に課税せよ」などと声を上げました。「憲法を守り生かすために5・3憲法集会がある」ように、「税制・税務行政の民主化のために3・13統一行動がある」と位置付けて、「集団申告のため」に加え、全ての納税者が声を上げる一大決起の場としてさらに発展させましょう。
 政治への怒りや、少数与党の国会で開けた要求実現の展望を大いに話し合いましょう。「消費税の減税、インボイス制度は直ちに廃止」「基礎控除を引き上げ、生活費非課税に」「大企業・富裕層に応分の負担を」「納税者の権利を守る税務行政に」などの切実な要求を掲げ、集会やデモで多くの納税者にアピールしましょう。目前に迫った3・13統一行動を大きく成功させましょう。


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