確定申告のワンポイントアドバイス⑩「税額控除(寄附金控除など)、定額減税」|全国商工新聞

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 今回は、一定の団体に対する寄付をすると税金が安くなる「寄附金控除」と、「住宅借入金等特別控除」(いわゆる住宅ローン控除)。さらに、今回の確定申告だけに適用される、いわゆる「定額減税」について解説します。
 まず、寄附金控除についてです。
 よく耳にする「ふるさと納税」も「寄附金控除」の一つです。創設当初は豪華な返礼品が話題を呼びましたが、現在では「返礼品は寄付額の30%以内で、地場産品を使う」というルールがあります。「ふるさと納税の限度額は幾らか?」という質問をよく受けますが、住民税の確定を待つ必要がありますから、試算するのなら、各ふるさと納税のサイトで目安金額を調べると良いでしょう。
 「ふるさと納税」以外にも「一定の寄付」について控除を受けられる寄付があります。政党や政治資金団体への寄付、公益財団(社団)法人への寄付、認定NPOへの寄付などです。これらの寄付が寄附金控除の対象となるかについては、寄付先から資料などを入手して確認しましょう。
 目安として、3万円を政党などに寄付した場合、税額控除で所得税がどれだけ安くなるか、図1にまとめました。「寄附金控除」のやり方には、「所得から控除する方式(所得控除)」と「税額から控除する方式(税額控除)」の2種類があります。
 所得控除と税額控除のどちらも選択できる場合には皆さんに有利になる方を選択しましょう。なお、寄付をした分だけ所得税が安くなるわけではありません。所得控除と税額控除それぞれについて限度額がありますので、ご注意ください。
 次に、住宅借入金等特別控除について解説します。
 住宅借入金等特別控除は政策減税で、住宅取得を進める政策として導入されました。現在も毎年、改正を経てはいますが、住宅購入の際には大きな減税を受けることができます。
 住宅ローン控除の適用要件は①住宅の床面積が50平方㍍以上であり、かつ床面積の2分の1以上が自己の居住用であること②中古住宅の場合には、建築から取得日までが20年(マンションなどは25年)以下であることや、建物が耐震基準を満たしている場合―に適用されます。
 住宅を購入する際には住宅ローンを利用することが多いと思います。住宅ローン控除を受けるためには、借入期間が10年以上あることが必要です。
 住宅借入金等特別控除は、毎年制度が変わっていますが、控除を受けられた方は、控除を受けた初年度の制度に従って控除を受けることができます。
 住宅の住み替えをした場合には、転居前の自宅を売却した場合に譲渡所得の特別控除(いわゆる「3千万円控除」)を適用することもできますが、住宅ローン控除との併用はできません。
 住み替えを行った場合には、どちらを適用するかを検討しましょう。

定額減税について

 最後に、定額減税について説明します(図2)。
 個人事業主の方は、確定申告で減税を受けることになります。専従者の方については、源泉税がある場合には専従者ご自身で定額減税を受けることになります。仮に確定申告で定額減税(1人当たり3万円の減税)を受け切れない場合には、後日、お住まいの自治体から不足額給付の支給がありますので、注意して待っていてください。
 なお、昨年所得による見込みでの調整給付金を受けた場合で、定額減税を受けられる方もいるかと思いますが、その場合には、定額減税を受けていただき、見込みで支給された調整給付金を返還する必要はありません。
 今年以降、定額減税が継続される見込みは立っていません。たった一回限りのややこしい減税ですが、記載漏れなどで受け取れないことがないように注意してください。


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