国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の総括所見を生かした運動が始まっています。女性差別撤廃条約の選択議定書の批准、男女賃金格差の是正、性暴力の撲滅など、勧告を力に、世論と社会に変化が起こっています。4回目の勧告を受けた選択的夫婦別姓の実現は、経団連も制度導入に向けた法案を国会に提出するよう要望しています。
昨年の総選挙では、自民・公明の与党議席数が過半数を割り、与党だけでは予算や法律を成立させられない局面です。日本政府が勧告を誠実に実行するよう、野党への働き掛けを強めることで、夫婦同姓を強制する民法の改正をはじめ、ジェンダー不平等を強いる各種制度の是正につながる可能性も広がっています。
勧告は「所得税法第56条(56条)の改正」や「傷病・出産手当など基本的サービスの確保」も求めました。これを実現させるには、世論と運動を広げることが重要です。
全商連婦人部協議会が、この春から取り組んでいる「56条の廃止」「国民健康保険(国保)に傷病手当・出産手当を給付する制度の確立」の新たな国会請願署名を一人でも多く集めることが、業者婦人の地位向上や権利確立を後押しする力になります。
56条があることで、白色申告の場合、事業主の所得から配偶者が年間86万円、家族が同50万円を控除されるのみで、時給に換算すると最低賃金にも及びません。女性の経済的自立を促進するためにも、ジェンダー平等を実現するためにも、差別的な税制を人権問題として、これ以上放置せず、家族従業者の労働の社会的評価や働き分を正当に認めさせるべく、56条は廃止するべきです。
CEDAWが、国保制度の問題を指摘したのは、今回が初めてです。会社員らが加入する健康保険と同様に、国保にも、傷病・出産手当を創設すべきです。「法の下の平等」(憲法14条)に照らしても、保険制度の違いにより、給付や免除制度が異なる事態は、一刻も早く解消すべきです。
56条による不利益の実態や国保制度拡充を求める声を集め、消費税の減税、インボイス制度の廃止など、国民の切実な要求実現へ、署名を力に政治を変えましょう。