地域経済の存続へ 中小業者に直接支援を 鳥取県連・県と懇談 経営状況「悪い」7割|全国商工新聞

全国商工新聞

鳥取県に要請書を手渡す鳥取県連の奥田清治会長(左)
中小業者への直接支援などを求めました

 鳥取県民主商工会連合会(県連)は先ごろ、鳥取県に「コロナ禍・物価高騰を克服し、中小・小規模事業者、地域経済の存続・発展を求める要望書」を届け、懇談しました。県連の奥田清治会長=外壁工事=はじめ7人が参加し、県側は河野貴弘商工政策課長らが応対。「物価高騰に対応した直接給付制度の創設」「住宅リフォーム制度の創設」「最低賃金引き上げに伴う中小・小規模事業者への補助の創設」など要請書の13項目を基に、意見交換しました。

 奥田会長は「住民生活に密着し、地域経済を下支えする小規模事業者の重要性を考えれば、支援の裏付けとなる小規模企業振興条例の制定が必要だ。中小業者の事業の持続的発展のため、県として支援を」と述べ、県連が昨年秋から民主商工会(民商)会員などに向けて取り組んでいる経営状況アンケートの結果(米子民商の31人分、鳥取民商の15人分)などを説明しました。
 米子民商の回答結果では、現在の経営状況が「やや悪い」「相当悪い」「最悪」を合わせて23人と7割超に達し、長引く物価高騰や、人件費の上昇の影響により、厳しい状態に追い込まれている中小業者の実態が浮き彫りになっています。こうした下で、求められる経営支援は「給付金」「補助金」が17人と半数超が、何らかの現金支援を求めています。
 寄せられた一言では、「仕入れ代金が高くなる一方だ。上がった分の売り上げを上げることはなかなかできない」「借り入れをしても、返済が無理なので、給付金を」などの声を紹介しました。
 県側は「生産性向上への取り組みや、新たな企業価値を創造する事業者を支援する『産業未来共創間接補助金』(補助額・最大500万円、補助率2分の1)を実施している。住宅の断熱工事費の一部助成として『とっとり健康省エネ住宅改修支援事業補助金』(上限150万円)などもある」と取り組みを紹介しつつ、直接給付については「生産性向上などの事業目的がなければ、実施は難しい」と後ろ向きな回答に終始しました。
 参加者は「省エネなど高機能住宅への補助制度の実績は数百件程度と聞いた。多くの市民が使えていない」と指摘。「省エネだけでなく、広範な県民や事業者が利用できる住宅リフォーム制度を実施すべきだ」と強調しました。県内でコロナ禍時の持続化給付金受給者は4万者に上っており、「この層を助けるには直接補助が必要だ。もっと小規模事業者に目を向けてほしい」と直接支援の創設を重ねて求めました。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから