「長野県内の4割の自治体で『国保財政への国庫負担の増額を求める』意見書が採択された」「茨城県内の44市町村のうち39市町村(88・6%)で、国民健康保険(国保)の子どもの均等割減免が実施された」―。全国商工団体連合会(全商連)も加わる中央社会保障推進協議会(中央社保協)は12月8日、東京都内で「国保改善運動交流集会」をウェブ併用で開催。会場に21人が参加し、オンラインで74カ所から視聴されました。
神奈川自治労連の神田敏史さんが「保険証をめぐる最新情勢と国保改善運動たたかいの展望」をテーマに講演。石破自公政権が12月2日、健康保険証の新規発行を停止し、マイナカードに保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」への一本化を強行したことに対して「無保険者を生まないために、全ての国保加入者に資格確認書を送るべきだ」と述べました。
保険証の新規発行停止に伴い、保険料の滞納者に交付されていた「短期保険証」や「資格証明書」も廃止されました。この機に乗じて一部の自治体が、病院や薬局の窓口で、いったん全額自己負担になる「特別療養費」に切り替えようとしていることについて「滞納者に医療費の負担がいきなり押し付けられない取り組みが必要だ。自治体が納付相談を行い、納め切れない場合は執行停止なども行うべきだ」と強調しました。
国が進める国保料・税の都道府県内での統一化は「市町村が担ってきた保険者の役割を奪うものだ。今でさえ高過ぎる国保料が、さらに引き上がれば、皆保険制度の破壊につながる」と警鐘を鳴らし「国保制度を維持・改善するには、国などの財政投入が必要不可欠だ」と訴えました。
四つの地域が特別報告。「県内の4割の自治体で『国保財政への国庫負担の増額を求める』意見書が採択された」(長野県社保協・藤本ようこ事務局長)、「国保の子どもの均等割減免が39市町村で実施された」(茨城県議・江尻加那さん)、「大阪府能勢町は、コロナ禍をきっかけに『健康増進支援金』を創設し、国保加入者への支援策が実現した」(能勢町議・中西顕治さん)、「自治体要請で、大阪府内で国保料の水準が統一化されたことで負担増になると周知している」(寝屋川社保協・太田徹さん)など、各地の奮闘が報告されました。
中央社保協の林信悟事務局長が行動提起。「国保財政への国庫負担の増額を求める」意見書採択の推進▽国保改善オンライン署名を広げる▽社保協作成の国保パンフを活用した学習、相談活動の強化―などを呼び掛けました。