「確定申告書の控えなどへの収受日付印の押印継続を」―。国税庁が、税務行政のデジタル化を口実に、収受日付印の押印を1月から廃止する問題が、昨年末の臨時国会の衆参の委員会審議で取り上げられました。田村智子衆院議員(共産)と小池晃参院議員(同)がそれぞれ、衆院財務金融委員会(12月18日)、参院財政金融委員会(同19日)で質問し、納税者に著しい不利益をもたらす収受日付印の押印廃止方針を撤回し、押印を継続することを求めました。
田村議員は、提出された確定申告書を税務署がシステムに入力する前に紛失し、納税者が改めて申告を求められた二つのケースを取り上げました。①納税者が収受日付印が押された申告書控えを持っていたため、税務署が申告書の紛失と、控えの内容の申告を認めたケース②納税者が収受日付印の押された控えを持っておらず、再度、申告をやり直したケースです。
田村議員は「収受日付印の押された控えは、納税者にとって、申告の内容を唯一証明するものであり、収受日付印を廃止することなど、あり得ない」と強調し、「日付と税務署名が記載されたリーフレットを渡すより、ハンコを押す方がよほど効率的だ」と指摘し、押印継続を迫りました。
小池議員は、収受日付印が押された確定申告書の控えが、補助金の申請や融資申請、就労ビザの申請などの際に、重要な証明書類として扱われていることを指摘。「収受日付印の廃止によって、納税者・中小業者が著しい不利益を被ることはあってはならない。1月から廃止するのではなく、押印を継続せよ」と求めました。
加藤勝信財務相は、両氏の質問に対し「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進の一環として、収受日付印の押なつを見直す」と、押印の廃止に固執。申告書の紛失をただした田村議員に「さまざまな要因で、提出された申告書の情報がシステム上で未入力になる場合がある」と、紛失の事実を認めたものの、押印廃止は「(収受日付印が押された)申告書の正本を返却するなどの不適切事案を防止するためだ」と強弁しました。
国税庁の小宮敦史次長は、小池議員に「収受日付印は、申告書などを収受したことを示すものに過ぎない」と述べ、証明書類としての扱いは金融機関が勝手に行っているという無責任な姿勢を示しました。
小池氏はこうした財務省の姿勢を厳しく批判。「納税者・中小業者にとっては、控えに収受日付印が押してあることが一番便利で重要だ」と強調。「『1年間、頑張って納税していただき、ありがとうございます』と言って、控えにハンコを押して納税者に返却することこそ、納税者に対する税務署のあるべき態度ではないか」と追及しました。