今回は、所得税の計算方法について説明します。
所得税の計算は、まず収入の性質によって所得を10種類に区分して(図上部の①事業所得?⑩山林所得)、それぞれの所得を計算します。①~⑦の所得は「?総合課税の対象となる所得」と言い、全ての所得を合計して所得税額を計算します(図の左上側)。
一方、⑧~⑩の所得は「?分離課税の対象となる所得」と呼ばれ、それぞれの所得だけで所得税額を計算します(図の右上側)。
①事業所得と②不動産所得については、収入から、収入を得るために必要な経費を差し引いて所得金額を求めます。収入とは、売り上げや家賃収入のことです。さて、どんな支出が必要経費になるのかが、皆さんの悩みどころではないでしょうか。
経費を考えるには、最初に支出が事業用(仕事)なのか、家事消費(生活費)なのかを区分することから始まります。
何が事業用の支出(経費)に該当するのかですが、申告納税制度では、自らの申告(収入・経費)を決めるのは、あくまで自分です。何が、どこまで必要経費になるかについても、自ら決定します。この考え方は、とても大切です。万が一、税務調査が行われた場合にも「経費だ」と主張できればよいでしょう。
⑤給与所得や⑥雑所得となる公的年金は、決められた控除金額を差し引いて所得金額を求めます。
その他の所得も、一定の計算方法に基づいて「総合課税」の総所得金額と「分離課税」の各所得金額を求めます。
その後、所得金額から基礎控除・扶養控除・寄付金控除などの所得控除(図下部の※所得控除)を差し引き、課税所得金額に税率を乗じて所得税額を計算します。
所得税の税率は、累進課税を採用している「総合課税」では5%から45%となっています。所得が多い人ほど税率は上がっていきます。一方、「分離課税」の所得は、所得の多寡に関係なく、税率が一律に定められており(株の売却益は15%など)、これを比例税率といいます。よく聞く「1億円の壁」というのは、所得が高くても税率が上がらない比例税率が原因で生じています。
計算の最後に、「総合課税」と「分離課税」の税額を合計し、住宅借入金等特別控除などの税額控除(定額減税も、ここで計算します)を差し引いて、納付あるいは還付される所得税額を求めます。
確定申告書の内容によって、住民税や国民健康保険(国保)料・税が決まります。所得が少ない人ほど、住民税や国保料・税が所得税額を大きく超える金額となる場合があります。自主計算・自主申告をする場合、これらの所得税の先までを見据え、仲間などに相談しながら行うことが大切です。
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