所得税法第56条CEDAWで審議へ 【手記】全婦協常任幹事 遠山京子さん|全国商工新聞

全国商工新聞

意見書採択自治体を英字で掲げアピール

CEDAW第9次日本報告審議を傍聴した、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の参加者

 国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は10月17日、スイス・ジュネーブにある国連欧州本部で日本の女性差別撤廃条約の実施状況を審議(第9次日本報告審議)し、同29日に総括所見を発表しました。総括所見は「選択的夫婦別姓の早期導入」「皇室典範の改正」に加え、「沖縄の米軍関係者による性暴力」を初めて取り上げ、「性暴力防止、加害者の処罰」などを勧告。業者婦人の働き分を認めない所得税法第56条に対しては「56条を改正し、家族経営における女性の労働を認めること」と、前回より踏み込んだ改善を求めました。
 全商連婦人部協議会(全婦協)も加盟する、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)傍聴団84人の一員として、常任幹事である私、遠山京子と土井淳子事務局長が現地で審議の傍聴・ロビー活動に取り組みました。ジュネーブでの活動をリポートします。

国連の入場ゲート前の遠山さん。建物内に入るためには、毎回ここでセキュリティ―チェックがありました
1日かけジュネーブへ

 10月13日(日)名古屋から成田経由で出発し、14日(月)現地時間で午前8時にジュネーブに到着しました。丸1日かけて移動し、時差ボケを感じる間もなく、日本婦人団体連合会(婦団連)傍聴団チームの21人と一緒に国連欧州本部へ。入場ゲートで事前にネット申請していたパスを有効化し、手荷物検査の後、ようやく会議室に入ることができました。いよいよ国連に来たんだなぁと、実感が湧きました。 婦人部の皆さんから「食事はどうしていたの?」とよく聞かれますが、昼食は国連のカフェテリアを利用しました。量り売りなので、お皿に盛る量は要注意です。ベイクドポテトがとてもおいしかったのですが、「ランチが3千円?」と、日本ではあり得ない額に動揺しました。

委員と質疑応答始まる
日本報告審議の前の集まりで、56条廃止をスピーチする全婦協の土井淳子事務局長(その後ろは56条廃止の意見書採択自治体の英字タペストリー)。右は56条解説のバナーを掲げる、婦団連の柴田真佐子会長(当時)

 いよいよ、午後3時から「非公式NGOミーティング」が始まります。90分の会議で、チリ、カナダ、日本、キューバ、ベナンの5カ国のNGOが意見表明しました。日本からは、日弁連とJNNCの代表が発言し、委員の質問を受けました。
 翌15日は傍聴団の打ち合わせやリハーサル。16日にも、ランチブリーフィングという委員との質疑応答の場がありました。日本のNGOが次々と英語で発言し、委員からも追加質問が出され、この場で回答できなかった質問には書面回答するなど、日本の現状を伝えたいNGOと、正面から受け止めようとする委員との白熱したやり取りがありました。全て英語のため詳しい内容はリアルタイムで把握できませんでしたが、熱気を感じました。
 全婦協は、JNNCレポートと併せて、婦団連レポートでも56条の問題を訴えました。土井さんが英語でスピーチを行い、私はその後ろで56条の意見書採択自治体の英字タペストリーを掲げてアピールしました。休憩時間には、委員に個別に働き掛け、私は56条を説明した英文チラシを手渡しました。直接訴えるには英語力が足りず、もどかしい思いでした。
 現地で、17日の日本審議の本番に向けた事前の質疑応答が重ねられていることを実感しました。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから