全国商工団体連合会(全商連)も加わる「不公平な税制をただす会」(ただす会)は11月6日、東京都内で「税務行政と納税者の権利」をテーマに「秋の学習会」を開き、27人が参加しました。
共同代表の菅隆徳税理士が開会あいさつ。「消費税インボイス(適格請求書)制度の強行や税務相談停止命令、強権的な税務調査の横行など、納税環境は悪化し、フリーランスや中小業者らに一層の負担と権利侵害を強いている」と述べ、「権利は、たたかってこそ守られる。大いに学び、たたかいの理論と運動の経験に確信を深めよう」と呼び掛けました。
各分野から3人が報告。全商連事務局員の江浦亜希子さんが、「事前通知も無く来店した税務署員が客のいる前で伝票やレジを調べ、注文伝票にナンバリングした」「納付相談を続けているのに年金事務所の職員4人が、客や従業員の前で金庫やレジを開けさせ、現金100万円を持ち去る」など、全国の民主商工会(民商)から寄せられた不当事例を具体的に告発。「国税でも、地方税でも、社会保険料でも、人権を踏みにじり、営業と生活を破綻させる強権的な徴収が相次いでいる」と強調しました。全商連発行の「自主計算パンフ」に掲載されている「税務調査についての10の心得」「滞納処分から身を守る10の対策」を示し、「納税者の権利を身に付け、不当な調査・徴収を許さない運動を進めよう」と呼び掛けました。
特定社会保険労務士の加藤深雪さんは、急増する社保倒産と社会保険料滞納による差し押さえ件数の実態を報告。「税と社会保険料の負担で、もはや”五公五民”に匹敵する状況だ。中小業者が赤字でも、黒字でも同率で納めなければならない社会保険料の重い負担を見直さなければならない」と強調しました。
荒川俊之税理士は「年度途中の現金出納帳の提示をいきなり要求するなど、強権的な税務調査が横行している」などと具体的な事例を紹介しました。
共同代表の浦野広明税理士が基調報告を行いました。国税通則法の規定や憲法に明示された請願権、第72国会(1973年12月1日~74年6月3日)の衆院大蔵委員会(当時)の議決などを示し、「納税者がこれまでのたたかいで勝ち取ってきた権利を活用し、税務当局に対峙しよう」と呼び掛けました。
総選挙の争点として話題になった基礎控除などの引き上げについて、「控除は、生活維持のための最低限の収入を守るために始まったものだ。消費税増税で国民の生活費にまで、どんどん手を突っ込んでいる以上、75万円程度の引き上げは当たり前だ」ときっぱり。「財源不足が問題なら、大企業や富裕層から応分の税収を徴収すればいい」と強調しました。
小池晃参院議員(共産)と福田昭夫衆院議員(立民)が国会情勢を報告しました。