衆院で自公与党を過半数割れに追い込み、中小業者の切実な要求を実現する可能性が高まっています。「消費税のインボイス(適格請求書)制度は直ちに廃止」も、その一つです。インボイス廃止を公約に掲げたのは、立民、国民、れいわ、共産、社民などで、衆院議員の4割を超えています。新たな局面で、「インボイスは増『税ジャナイカ』」「消費税は減税を!」と11月16日、個人事業主や漫画家、俳優、フリーランスらが東京・JR新宿駅東南口に集い、約2時間半、訴えました。主催は、新宿民主商工会(民商)をはじめ、インボイス制度について考える「フリー編集(者)と漫画家の会」や「インボイス制度を考える演劇人の会」などが加わる「税ジャナイカ」実行委員会です。
新宿で2時間半訴え 東京・新宿民商、フリーランスら 力合わせて共感広げ
駅前広場には、ステージを取り囲むように大きな人垣ができ、江戸時代末期の世直し運動「ええじゃないか」を模した「税ジャナイカ」のコールに合わせて、参加者が、こぶしを突き上げました。新宿民商の役員や会員がスタッフとしてビラ配布や案内に奔走しました。
皆で声上げよう
東京・品川民商の藤田桃 華さん=書道家=が毛筆で大きく揮毫した「税ジャナイカ」のステージ。声優の岡本麻弥さんが「昨年10月、インボイス制度が始まりました。インボイスって何だかよく分からないけど、増税じゃないか。今の日本は『五公五民』じゃないか。こうなりゃ、皆で踊ろう、騒ごう、声を上げよう!」と開会宣言。「STOP!インボイス」の阿部伸さんがMC(司会)を務め、「11月11日~17日までは『税を考える週間』。納税者が、税やインボイスについて考え、みんなで共有していこう」と呼び掛けました。
会場では「フリー編集(者)と漫画家の会」のメンバーが道行く人にオープンドローイング(公開落書き)への参加を呼び掛け、ボクシング漫画『はじめの一歩』の著者の森川ジョージさんら著名な漫画家たちが画用紙にキャラクターを描き、「インボイス反対」と添えました。フリーランスの漫画家や音楽家、俳優や税理士らが、昨年10月以降のインボイス制度による悪影響を告発。司会の岡本さん、阿部さんとトークを交わしました。
負担に頭を抱え
集会には、立民、れいわ、共産などの国会議員や地方議員らが駆け付けました。「総選挙で自公が過半数割れし、インボイス廃止を掲げた政党が伸びたのは大チャンス」「野党は連携して、インボイス廃止を実現しよう」と声をそろえました。
スタッフとして参加し、通行人にビラを配布した新宿民商のヒナサキさん(ハンドルネーム)=建築・内装=は「売り上げが伸びたことや取引先との関係もあるので、来月、インボイスに登録せざるを得なくなりました。試算すると、50万~70万円の新たな消費税負担を強いられ、頭を抱えています。『8割控除』など3年間の負担軽減策が無くなった後のことを考えると厳しい…。インボイス廃止は自分自身の切なる願いでもあります。総選挙でインボイス廃止を掲げる議員が増えた今が大チャンス。一気呵成に実現したい」と意気込みを語りました。
告発 インボイスは増「税ジャナイカ」
マンガで問題点伝え
bomiさん=マンガ・イラスト作家
インボイス制度が始まり、実際に起きている問題点を告発し、分かりやすく発信したいと考え、『インボイスってなんぞや?』というマンガを描き、会場で配布しました。インボイス制度や消費税の問題点について掘り下げています。周りの人に広げてほしい。
小さな劇団が苦境に
丸尾聡さん=作家、俳優
文化は、人々の生活の中に入り込み、豊かにするものだ。それが、インボイスのせいで「もう、できない…」という小さな劇団が数多くある。芝居のチケット代もどんどん上がり、さらに、お客さんが来ない悪循環が起きている。何とかインボイスを廃止させたい。
文化・芸術が衰退し
土屋学さん=音楽家
ミュージシャンは6割がフリーランスで、個人事業主としてインボイスの影響が深刻だ。コロナ禍で収入が減り、異常円安で輸入物価が高騰。その上に、インボイスで収入が減っている。国は「クールジャパン」と言いながら、日本の文化・芸術を衰退させている。
税率引き上げの準備
湖東京至さん=税理士
インボイスは、消費税率をさらに引き上げたいという政府の思惑の下で導入された。国民全体にインボイスが関係する一番の理由は、これが税率を上げる準備だということだ。消費税を増税させてはいけない。そのために、インボイスを廃止しないといけない。
元請けに発行迫られ
山本高明さん=東京土建一般労働組合
建築業界は、1次請け、2次請け…という重層請け負い構造になっていて、元請けが下請けにインボイス発行を迫ることが頻繁に起きている。取引先から「インボイス登録しないと、消費税分は払わない」「今後、取引できなくなる」と言われたとの相談が増えている。
多くの業者つぶれる
菊池純さん=税理士
免税事業者は1千万人ぐらいいる、といわれている。この人たちがインボイスに無理やり登録され、滞納が増えたら、ほとんどの事業者はつぶれてしまう。メディアが、インボイスのひどさをほぼ報じない中、事実を知った私たち一人一人が声を上げ、広げよう。