最低賃金が1日から、各都道府県で順次引き上げられました。今回の改定で、最賃の全国加重平均は、現行額から51円高い1055円に。東京では50円、徳島では84円、引き上げられました。その一方で、物価高騰や消費税インボイス(適格請求書)による増税などで苦境に立つ中小業者は、最賃引き上げと、それに伴う社会保険料や労働保険料の負担増に不安を感じています。各地から「商売が成り立たない」「廃業を検討している」との声も上がっています。
こうした下で、最低賃金の値上げを決めた各県の地方最低賃金審議会の中には、答申に中小業者への支援策を盛り込んだところが複数ありました。
中小に消費税減免社会保険料の軽減 京都府
京都府の最低賃金は、2023年度の1008円から1058円に引き上げられました。京都地方最低賃金審議会は8月5日、この賃金改正を京都労働局長に答申しました。その付帯決議(1)の項目で、「中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げできる環境の整備」を挙げ、「生産性向上に向けた現行補助制度の思い切った要件緩和や拡充、価格転嫁対策の一層の徹底」を政府に求めています。さらに、昨年の付帯決議には無かった「中小企業・小規模事業者を対象にした消費税の減免措置や社会保険料の事業主負担分の免除・軽減等、賃上げの原資の確保につながる直接的な支援策を行政として実施するよう、政府に対し強く要望する」との文言を盛り込みました。
独禁法の執行強化助成金制度の充実 兵庫県
兵庫県では、23年度の1001円から1052円に引き上げられました。
兵庫地方最低賃金審議会の答申は、「中小企業・小規模事業者の労務費・原材料費・エネルギーコスト上昇分の適切な価格転嫁を実現するため」として、所管省庁に対し「独占禁止法や下請法の執行の強化」などを要請。中小企業・小規模事業者が最低賃金を引き上げても、円滑に企業が運営できるように、「現在の『業務改善助成金』制度の充実」や、労働者の処遇改善を支援する助成金に対する「賃上げ加算の拡充」、社会保険料の事業主負担分の免除軽減、社会保険料と税の負担軽減策などの実現を求めました。