「価格協議の場を持つことの重要性が分かった」「自らの経営を分析し、見積もりに反映させたい」―。物価高騰と最低賃金の引き上げが中小業者の経営に大きな影響を及ぼす中、全国商工団体連合会(全商連)は11日、「私の価格転嫁対策」をテーマに第10回経営対策交流会をオンラインで開催。170カ所から視聴されました。
特別報告
継続的賃上げに国の補助が必要
岩手・胆江民商 事務局長 永山哲さん
1時間当たり50円以上の賃上げを行った中小企業などに対し、従業員1人当たり5万円を支給する岩手県の「物価高騰対策賃上げ支たん援金」の現状について、胆こう江民主商工会(民商)の永山哲事務局長が特別報告。「4月以降、民商で学習会などを開いて制度を紹介し、申請を呼び掛けてきた。8月以降、相談が増えたが、県全体の実績としては、4万人の枠に対して、申請は2万人に届いていない」と説明。「1回だけの補助金では、なかなか賃金を上げられない。継続して補助する仕組みが必要だ」とし、「県単独では、限界がある。政府の責任で支援を行うべきだ」と指摘しました。
学習講演
原価を把握して協議の場設ける
(株)第一経営相談所 柴沼貴司さん
学習講演を行った(株)第一経営相談所経営コンサルティング室の柴沼貴司さんは、中小企業庁調査などの結果から、「価格転嫁の流れができつつあるが、まだ不十分」と指摘。「東京商工リサーチの調査では価格転嫁に関する協議の場を設けることで、多少なりとも反映されたのが87.8%に上る。さらに原価構成を把握したことによって、82.5%が価格に反映されている」とし、経済産業省の「ローカルベンチマーク」や埼玉県の「価格交渉ツール」なども活用し、①協議の場を設ける②原価を把握して交渉に臨む―ことの重要性を強調しました。
「原価計算を正しく行い、『どんぶり勘定』からの脱却が必要」(岩手・宮古民商)、「協議の場が有効ということを、班会でも議論したい」(香川・三豊民商)、「見積書の項目を見直したい」(福岡・宗像福津古賀民商)などの感想が寄せられました。