仲間とつながり確信に
「全国に業者青年の仲間がこんなに大勢いて、頑張っていることに励まされた」「新規開業の勉強になった」「学んだことを発信したい」―。全国から業者青年ら328人が岩手県花巻市で一堂に会した「第17回全国業者青年交流会」の参加者の感想です。全商連青年部協議会(全青協)が10月5、6の両日、「皆でかたって(岩手弁で『集まって』の意)楽しく学ぶべ
復興!継承!新たなSTART」をテーマに、前回(大阪会場)以来、2年ぶりに開催しました。5日の開会全体会は、中山高志実行委員長の開会宣言でスタート。全商連青年部協議会(全青協)の中裕紀議長(34)が主催者あいさつを行い、「全国業者青年交流会は、各地で切磋琢 磨する業者青年同士が交流することで、豊かな青年部活動につなげてきました。ぜひ、一人でも多くの業者青年と語り合いましょう」と呼び掛けました。
地域で業者青年が活躍全体会
全国商工団体連合会の太田義郎会長が参加者に向けて、目前の総選挙の意義に触れつつ「人生で、青年期は一度しかない。大いに交流し、学び合ってほしい」とエールを送りました。
齋藤徳美・岩手大学名誉教授が「震災復興と地域創生は表裏一体」と題して記念講演。東日本大震災で、岩手県や県内自治体の復興政策に第一線で携わってきた経験から「被災者の生業や暮らしの再建に際して、行政の責任は大変大きい」と指摘。石破政権の下で「『地方創生』が声高に叫ばれている。いま必要なのは国策の転換だ。東京一極集中ではなく、地方を成長させてこそ、リスク分散につながる」と述べました。
民商の役割重要 パネル討論
「地域経済を支える中小業者のなりわい再建」をテーマにパネルディスカッション。大貝健二・北海学園大学教授をコーディネーターに、宮城・石巻民主商工会(民商)青年部で全青協幹事の児玉侑也さん=建設=と、岩手・一関民商の山口伸事務局長がパネリストを務めました。
中学3年の15歳の時に、東日本大震災を体験した児玉さんは、建設業を営む父・力さんを支えながら、がれき撤去など災害復旧に携わってきたことを、震災直後に車中から撮影した被災地の動画などを映しながら報告。橋梁の建設にも関わり、施工後に、地域住民から「『橋を造ってくれて、ありがとう』と感謝の言葉を掛けられたことが忘れられない」と述べました。
山口さんは、震災直後から民商で支援を続け、グループ補助金の獲得など、生業と暮らしの再建を後押ししてきたことを報告。「地域社会を支える中小業者をエッセンシャルワーカーと捉えることが大切だ。地域に無くてはならない中小業者をサポートしている民商の役割も重要だ」と話しました。
大貝教授は「災害にとどまらず、国・自治体の施策に疑問を持ち、自分たちの生業を、地域経済の仕組みとして生かしていくことを考えていく必要がある」とまとめました。
地元名物でおもてなし 夕食交流会
「サッコラーチョイワヤッセー」―。幸せを呼ぶという掛け声を掛け、太鼓をたたいて、笛の音に合わせて踊り舞う名物の「盛岡さんさ踊り」の踊り手が入場すると、会場の盛り上がりはピークに達しました。1日目の夕食交流会の一こまです。
夕食交流会は、岩手県連青年部協議会(県青協)などで構成する現地実行委員会が主催しました。北上民商青年部長の成田貴彦さん=建設=が乾杯の発声。「全国業者青年交流会を成功させ、青年部活動をますます発展させましょう」と呼び掛けました。
同じく名物の「わんこそば」には、計20人(食士役10人、給仕役10人)がチャレンジ。おわんに入れられた一口大のそばを、1分間で完食する杯数を競いました。最高記録・37杯を食べた長野民商の佐々木元さん=造園=は「最高でーす」と語りました。企画を取り仕切った「花巻金婚亭」の多田俊太支配人は「普段は観光物産館と和風レストランを経営しています。『わんこそば』は、皆さんでワイワイ盛り上がれるのが特徴です。今日も、盛り上がりましたね」とニッコリ。
「久しぶり!」「商売、どう?」「今後とも、よろしく」などと、会場のあちこちで、名刺を交わし、自己紹介する姿が見られました。
兵庫県青協のメンバーが登壇し、11月30日~12月1日に、神戸のメリケンパークで行う「みんSHOW横丁2024inKOBE」をアピール。県青協会長の山名孝明さん=広告・企画=は「『横丁』では、民商の認知度を、もっと上げたい。皆さん、全国で民商をもっと盛り上げましょう」と呼び掛けました。
商売も暮らしも学んで 多彩な分科会
6日は、九つのテーマの分科会で、参加者同士が交流を深め、学び合いました。
M&Aの始め方
第1分科会「事業承継・M&A」では、福島・須賀川民主商工会(民商)青年部の保志昴汰さん=段ボール加工=が、自らの経験を報告。淑徳大学講師の唐澤克樹さん、本紙8面でもおなじみの第一経営相談所・弥永功児さんを助言者に、承継の際に注意すべき点やM&Aの事例などのレクチャーを受けました。「事業の新展開のため、M&Aを考えているが、何から始めればよいか」など、参加者からの質問に活発に討論しました。
SNSの活用法
第4分科会「SNSマーケティング」では、インスタグラムやX(旧ツイッター)をマーケティングに活用した経験などを深めました。福岡・直鞍民商青年部の坪山歩空人さん=イタリアン・レストラン=は「母親がインスタグラムで1日1回、投稿しています。それを見て、来店してくれるお客さんも少なくない」と効果を語りました。討論で刺激を受けた須賀川民商青年部の宗像涼太さん=内装工事=は「SNSの活用で悩んでいた。討論で『内装を変える目安が知りたい』『DIYに生かせるノウハウを伝えてはどうか?』など、みんなが”知りたいこと”へのヒントをもらえた」と挑戦を決意していました。
アイデア可視化
第3分科会「新規開業」では、広告代理店「(株)ランド」を経営する山名孝明さん(兵庫県青協会長)が、自らの体験談を紹介。参加者は、起業や事業のアイデアを九つの要素に分けて1枚に可視化するツール「リーンキャンバス」を活用して、3グループに分かれて①メガネ店②旅行代理店③豆腐店の「事業計画書」を書き上げました。ワークショップの最中、「それ、いいね!」「面白いんとちゃう」「圧倒的優位さって何?」などの言葉が活発に飛び交いました。
子育ての悩みも
第8分科会「家庭・子育て」には、子育て真っただ中の業者青年らが参加。「子どもと関わる時間を確保するために、自宅の前に店をオープンした」「学校のタブレット学習にどう対応してる?」などと、ママやパパとしての経験や、保育園・小学校に関わる悩みなどを交流し、互いにアドバイスし合いました。
全国業者青年交流会にメッセージ(要旨)
達増拓也・岩手県知事
第17回全国業者青年交流会に来県いただいた皆さまを心から歓迎します。
東日本大震災・津波から13年半がたち、ハード事業の多くが完了する一方、被災者の心のケアといった復興固有の課題が残されています。こうした中、本県で復興・継承をテーマに、企業経営者であり、地域の若手きずなリーダーである皆さまが絆を深めることは意義深く、活力ある地域社会が全国的に実現することを期待します。
復興の大きな力となっている地域における人のつながりなどにも触れていただきたいと思います。地方から日本の経済社会を良くしていきましょう。