マイナンバー(個人番号)カードに健康保険証の機能を一体化させた「マイナ保険証」。現行の健康保険証の新規発行を廃止し、マイナ保険証に一本化する予定の12月2日まで3カ月を切り、「廃止時期の見直し」が、自民党総裁選で争点の一つに急浮上しています。7月時点でも、国民の9割近くが現行保険証を利用する中、林芳正官房長官や石破茂氏が見直しに言及。強硬姿勢の河野太郎デジタル相との間で「マイナ閣内不一致」の様相を呈しています。全国商工団体連合会(全商連)らが訴え続けてきた「マイナ保険証のごり押しはやめ、現行保険証を残せ」の要求の正しさが、いよいよ明らかです。
マイナ制度反対連など デジタル庁前抗議
「マイナ保険証の押し付け反対!」「デジタル庁は強制をやめろ!」―。全商連も加わるマイナンバー制度反対連絡会や全国保険医団体連合会(保団連)、中央社会保障推進協議会(中央社保協)などは6日、東京都千代田区のデジタル庁前で、現行保険証の存続を求める抗議行動を実施。120人が参加しました。
保団連の住江憲勇名誉会長は「医療の現場では、マイナ保険証の利用でトラブルが続出している。国民の医療へのアクセスを制限するマイナ保険証への一本化は許されない」と訴え、現行保険証廃止を断固やめさせようと呼び掛けました。中央社保協の林信悟事務局長は「マイナ保険証は5年ごとの申請が必要で、無保険者を政策的につくり出す。国民皆保険制度を壊すもので、認められない」と訴えました。
反対世論さらに広げ マイナ制度反対連 学習会と総会
全商連も加わるマイナンバー制度反対連絡会は8月30日、2024年度の総会を、東京・全労連会館(文京区)でオンライン併用で開催。会場に33人が参加し、オンラインで各地の民商など107カ所で視聴されました。
総会に先立ち、「マイナンバー制度とマイナ保険証を考える」をテーマに学習会を開催。弁護士の森田明さん、全国保険医団体連合会(保団連)事務局の曽根貴子さんが講師を務めました。
元内閣府情報公開・個人情報保護審査会常勤委員の森田さんは、国内外の個人番号制度の仕組みや、日本のマイナンバー制度とマイナカードの問題点を指摘。「もともと任意だったマイナカードを、マイナ保険証に一本化することで取得を強制するのは、マイナンバー法の趣旨に反する」と強調しました。今後、マイナンバーカードの運転免許証との一体化など、さらに幅広い取得促進策が狙われているとし、「問題提起を粘り強く続け、利用拡大を許さないことが重要だ」と訴えました。
曽根さんは、医療現場で問題が多発している実態を告発。38都道府県の8672医療機関から回答が寄せられた保団連の調査では、約6割(5188機関)が、マイナ保険証やオンライン資格確認に関するトラブルが「あった」と指摘。「手続きに、いら立った患者からマイナンバーカードを投げつけられた事例がある」と述べ、「現行保険証の廃止後も、資格確認書で受診できることを周知しつつ、署名などで世論を広げ、現行保険証を残そう」と呼び掛けました。
総会では、11月7日の「マイナ保険証の押し付け反対保険証を残せ!11・7大集会」(東京・日比谷野外音楽堂)・銀座パレードを一大結節点に、各地の自治体での意見書採択を進め、12月2日の現行保険証の新規発行廃止を前に、反対世論と運動を広げることを決めました。