福岡・直鞍民主商工会(民商)は8月27日、直方市の大塚進弘市長と面談し、地域経済の振興を図るため、中小商工業者への施策拡充の要請書を手渡し、懇談しました。
中小企業診断士でもある大塚市長は「地元の自営業者は、社会の重要な構成員であるとの認識を大切に、一部に富が偏るような状況は改善しなければならない。国には大きな、かじ取りを期待しつつ、持続可能な地域社会を実現するために、産業立地など税収を増やす努力を重ねながら、地域経済の活性化に努めたい」と述べるなど、中小業者、小規模事業者の立場に理解を示しました。
懇談には、青野定幸会長=鉄工、大本儀克副会長=金属回収、岐部博之事務局長、久好信子事務局次長が参加。市からは坂田剛・総合政策部長と田中克幸・産業建設部長が出席しました。那須和也、渡辺和幸の両市議(ともに共産)も同席しました。
民商からは、業種ごとの景況感を説明し、「業種によっては来年の確定申告時に消費税の納税が困難な状況にある」など、経営の厳しさが増している会員がいることを強調。商工新聞で紹介された兵庫県三田市や滋賀県近江八幡市の事業者支援金制度を紹介し、光熱費や家賃などの直接補助を求めました。
自営業者にとって負担の重い国民健康保険(国保)税について、全商連の第9回経営対策交流会(8月22日)の資料を基に、群馬県渋川市、大阪府能勢町、茨城県の事例を紹介し、国保税軽減策の実施を求めました。合わせて、消費税減税や社会保険料負担の軽減を行うよう国に求めることを要請しました。
大塚市長は「取引先との関係で価格転嫁が可能な事業者もいるが、下請けに過度な負担を強いる大企業の存在もある」とし、内部留保を大幅に積み上げている大企業の経営状況に疑問を示しました。その上で、人手不足や実質賃金の上昇など、中小企業の課題についても言及。「”失われた30年”を取り戻すためには、抜本的な改革が必要だ」として、国の役割発揮に期待を寄せました。