またしても沖縄で、米兵による女性暴行事件が起こされました。抗議行動が全国各地で広がっています。事件は昨年12月、米軍嘉手納基地所属の米兵が、16歳未満の少女をわいせつ目的で誘拐し、性的暴行を加えたもの。被害者の人権も尊厳も踏みにじる性犯罪を断じて許すことはできません。
この事件は、那覇地検が不同意性交とわいせつ目的誘拐の罪で、3月27日に米兵を起訴していたにもかかわらず、日本政府は沖縄県に一切通報していませんでした。その後、今年5月にも、米兵による女性暴行致傷事件が起こされていたことが発覚。その後も、相次いで発覚した女性暴行事件が、いずれもメディアが報道するまで隠蔽されていたことは重大です。
県民の命と安全に責任を持つ知事に、事件の連絡が無ければ、責任を持った対応ができなくなります。度重なる米兵の性暴力を国が隠蔽しているのなら、県民は安心して暮らせません。沖縄県女性団体連絡協議会が国への抗議で「政府が把握しながら県側に通知しなかった異常事態」と、厳しく批判したのは当然です。玉城デニー知事は3日、「実効性のある再発防止策を講じ、その内容を公表すること」「米軍人の事件・事故に関する県への通報の徹底」などを国に要請しました。
米兵による犯罪が多発する背景に、日本の主権を踏みにじり、在日米軍の特権的地位を保障する、日米地位協定があることは明らかです。
日本平和委員会のまとめでは、2023年に国内で発生した米軍関係者による一般刑法犯の約8割が不起訴になっています。起訴率が低い背景にも日米地位協定を前提にした密約があります。1953年10月の日米合同委員会で、日本は「実質的に重要であると考えられる事件」以外は裁判権を行使しないと約束したことが、今も効力を持ち続けています。日米地位協定は、抜本改定が急務です。
後を絶たない在日米軍による犯罪被害は「基地あるが故」であり、問題の解消には、米軍基地を縮小・撤去する以外にありません。大軍拡や自衛隊基地の強靭化など、もってのほかです。「戦争する国づくり」を阻止する運動を大きく広げましょう。