自主申告運動を磨いて 納税者の権利確立を 全商連第22回税研集会を開催|全国商工新聞

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340カ所からアクセスがあった税研集会

 全国商工団体連合会(全商連)は6月21日、第22回税金問題研究集会(税研集会)をオンラインで開き、全国340カ所で視聴されました。全商連第56回総会方針が提起した「消費税減税・インボイス廃止を実現し、応能負担の税制を」「申告納税制度を擁護・発展させ、納税者の権利確立」の運動に急ぎ踏み出すことを確認しました。

 太田義郎会長が主催者あいさつし、岸田政権の大軍拡・大増税、大企業優遇路線を批判。憲法前文や第30条(納税の義務)、同84条(租税法律主義)を引用し、「憲法は税の自主申告を規定している。納税者が集まり、話し合い、自ら申告書を作成し、納税する。そこに民主主義の原点がある」として、自主申告運動を発展させようと呼び掛けました。

3・13統一行動一大決起の場に

 立命館大学の望月爾教授が「納税者権利憲章は世界の流れ~申告納税運動の発展を」をテーマに特別報告。「納税者の権利」を巡る動きを世界史からひも解き、「税を納めることが、私たちの社会を支えることならば、“誰が、幾ら、どのように”税を納めるかも国民・納税者の権利だ」と強調しました。岸田政権が導入した定額減税や消費税インボイス(適格請求書)制度に触れ、「納税者に過度な負担を押し付ける制度は、納税の権利の侵害であり、重大な問題だ」と指摘しました。
 インボイス制度を考えるフリーランスの会(「STOP!インボイス」)の小泉なつみさんが特別報告。「インボイス中止を求めるオンライン署名が制度開始後に4万人分も上積みされ、紙の請願署名も4カ月余りで1万人を超えて寄せられた」と紹介。「インボイス導入で、新たな消費税負担や事務負担増、取引停止などが各地で起こっている。アンケート調査では、インボイス制度の見直し・中止を望む声は91 .9%だ。中止に追い込むまで運動を続ける」と表明しました。
 中山眞常任理事が「報告と問題提起」を行いました。国税当局による自主申告運動への介入や税務行政のデジタル化への対応、納税者サービスの切り捨てと徴収の強権化などを挙げ、「第56回総会方針が提起した『消費税減税・インボイス廃止を実現し、応能負担の税制を』『申告納税制度を擁護・発展させ、納税者の権利確立』の運動に急いで足を踏み出す必要がある」と強調しました。自民党の裏金事件や大企業優遇の不公平税制に国民の怒りが沸騰する下で、「3・13重税反対全国統一行動を、全納税者が結束・連帯し、税金の集め方と使い道や、人権を踏みにじる税務行政の是正を求める一大決起の場と位置付け、『集団申告』と併せて大きく発展させることが求められている」と呼び掛けました。

県連・民商から多彩な実践報告

 各地の民商が実践報告。「3・13で共闘する農民連に、税理士法を悪用した税務当局の介入があった。ひるまず、素早い対応で退けた」(鹿児島)、「税務相談停止命令制度を巡る国会答弁を順守するよう県内の全税務署と国税事務所に要請した。ほとんどの総務課長が『国会答弁を順守する』『納税者同士の学び合いを規制するものではない』と答弁した」(沖縄)、「換価の猶予の集団申請を行ってきた。納税者の権利を守るため、民商が声を上げることが重要だ」(北海道)、「インボイス実態調査を実施した。免税事業者の72.8%が取引業者などから迫られて新規登録したことが明らかに。インボイスを廃止に追い込むまで運動を強める」(大阪)、「コロナ禍や物価高騰が、自主記帳を進めるきっかけとなった。確実にレベルアップしている」(滋賀)などと取り組みを語りました。倉敷民商弾圧事件で無罪判決を求めてたたかっている禰屋町子さんが、裁判への支援を呼び掛けました。
 服部守延税金対策部長が閉会あいさつし、「これまでのたたかいで得られた成果や教訓を生かし、命令制度に萎縮することなく、自主申告運動に磨きをかけよう」と呼び掛けました。

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