東京都知事選7月7日投開票 市民と野党の共同で営業と暮らし守る都政に|全国商工新聞

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 「コロナ禍に加え、物価高騰、異常円安にあえぐ中小業者に小池百合子都政は冷たい。共闘の力で、業者に温かい都政に」「小池都政をリセットしよう」―。間近に迫った東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)で、東京商工団体連合会(東商連)や都内各地の民主商工会(民商)が奮闘しています。東商連は、2日の定期総会で「市民と野党の共闘で都政の転換を実現しよう」とした特別決議を採択。13日の常任理事会で、知事選への出馬を表明している蓮舫参院議員(無所属)の推薦を決議しました。各民商は、東商連がまとめた「都知事選・私たちの要求」を掲げ、機関会議で推薦決議を上げたり、班・支部での話し合いや会員への声掛けを推進。市民団体とともに、駅頭や街頭で元気に訴えています。

「7大要求」の実現を 東商連総会で特別決議

 東商連は2日、第78回定期総会で、特別決議「円安・物価高騰から営業と生活を守る運動を進め、市民と野党の共闘で都政の転換を実現しよう」を採択しました。
 特別決議は、岸田政権が中小業者の実態に背を向け、大軍拡・大増税を進める下で、東京都が悪政の防波堤の役割を果たすことが求められていると強調。しかし、小池都政は「稼ぐ東京」の名の下に、神宮外苑や築地跡地の再開発、外かく環状道路など大型公共事業に多額の税金をつぎ込む一方、都民の福祉、教育、中小業者予算を削減してきたと厳しく批判しました。小池都知事による公約投げ捨て、都民不在の都政運営を「許すことはできない」と断じています。
 「財界ファースト、都民置き去り」の都政の転換をめざし、共闘を力強く推し進めると表明。中小業者の緊急切実な要求を実現する都知事の誕生をめざすとしています。

蓮舫さん神宮外苑を視察 「再開発立ち止まることも」

 都知事選への出馬を表明した蓮舫参院議員は8日、再開発が進められている神宮外苑を視察。国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)国内委員会理事を務める、石川幹子東京大学名誉教授から説明を受けました。
 大手デベロッパーやスーパーゼネコンらが進める神宮外苑の再開発計画。都は千本もの樹木を伐採し、高層ビルを立てる同計画を認可し、推進する考えを示しています。
 蓮舫さんと石川名誉教授らは、伐採が計画されているイチョウ並木や建国記念文庫の森などを歩きながら視察。石川名誉教授は道中、「ニューヨークやパリ、ロンドンに比べて公園が少ない東京で、100年の森がある歴史的な公園を3・4ヘクタールも削って、超高層ビルを建てるのか。公園を削れば、永久に市民の下には返らない」と疑問を呈しました。蓮舫さんは視察後の記者会見で、「木々を伐採し、高層ビルに変えることに、都民の理解は得られているのか」と語り、「一度決まった再開発計画でも、首長の判断があれば、立ち止まることができる」と表明しました。

自民党政治終わりに 豊島文京民商 蓮舫知事誕生へ推薦決議

都知事選で、蓮舫さんの推薦を決めた豊島文京民商の第3回理事会=9日

 蓮舫都知事の誕生をめざし、民商も奮闘しよう―。豊島文京民商は9日、第3回理事会を開き、出席した18人の全会一致で、蓮舫さん推薦を決議しました。
 長谷川清会長=印刷=が「裏金事件を巡り、政府の名に値しない自民党政治を終わらせる、またとないチャンスだ。”失われた30年”で中小業者は政治の恩恵を受けず、厳しい商売を強いられてきたが、その悪政を終わらせよう」と、あいさつ。
 討論では、商売や地域の近況を交流。「文京区では共同印刷や東京ドームなど大企業の再開発計画が進む一方、地域を今まで支えてきた住民らが地価高騰などで追い出されている」との憤りも寄せられました。
 民商の第4回定期総会(7月15日)に向けて、各支部総会で会員への声掛けを行うことなどを確認。「蓮舫さんの勝利が、私たちの商売を守る唯一の道と信じ、民商も力を尽くそう」と決意を固め合いました。

業者応援する都政へ 蒲田、大田、雪谷の3民商など宣伝で訴え

「市民連合大田の会」の駅頭宣伝=9日

 大田区内の蒲田、大田、雪谷の3民商も加わる「市民連合大田の会」は9日、蒲田駅西口で宣伝し、「市民と野党の共闘で都政を変えよう」と訴えました。蒲田民商からは池田克憲会長=機械加工、加藤順一副会長=建設=をはじめ役員や事務局員9人が参加しました。
 時折、強い雨が降りつける中、大田区選出の野党都議、区議らがマイクを握りました。市民らが「市民と野党で構成する候補者選定委員会は5月27日、蓮舫さんの擁立を決定しました」と書いたビラを、通行人や買い物客に配布しました。
 同会共同代表の海部幸造弁護士は「自民党は裏金事件で大揺れだ。衆院3補選、静岡県知事選などで、自民党への厳しい審判が下された。都知事選は、都政を都民の手に取り戻す絶好のチャンス。市民と野党の力で、都民置き去りの都政を終わらせよう」と訴えました。
 「物価高で、中小業者の暮らしと営業は深刻だ。大型開発ではなく、都民の暮らしや福祉に光を当てる都政に」など、野党議員らが、小池都政の問題点を次々と告発。市民連合大田の会が衆院東京4区で推薦する谷川智行さん(共産)は「都民に寄り添う都政の実現に向け、声を上げ、力を合わせよう」と呼び掛けました。
 蒲田民商の池田会長は「小池都政は、都民や中小業者の声には耳を傾けず、病院をつぶし、築地市場を移転した。都民や中小業者を応援する都政を実現したい」と決意を語っています。

小池都政の8年をどう見るか

生業や暮らしを破壊し財界優先の開発を推進
革新都政をつくる会 事務局 末延渥史さんに聞く

 東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)が迫りました。小池百合子都政が誕生して8年。都民と中小なりわい業者の暮らし、業は良くなったのか―。都政問題研究家で「革新都政をつくる会」事務局の末延渥史さん に聞きました。

自民党政治そのもの

 小池都政(2016年~)を判断するには、石原慎太郎都政(1999年~2012年)以来続く、「都民の暮らし無視」の25年間の都政を見なければなりません。
 「何が贅沢といって、まず福祉」と言ってはばからず、シルバーパスの有料化や「マル福」(老人医療費助成制度)の段階的廃止などの福祉切り捨てを進めた石原都知事。商工指導所を廃止し、中小企業対策予算も切り詰めてきました。
 都立病院の統廃合や築地市場の豊洲移転などを進めた石原都政を猪瀬直樹(12~13年)、舛添要一の各都政(14~16年)が継承、その「福祉破壊」「都民の暮らし無視」の自民党型都政を丸ごと踏襲し、加速させ、拡大し、完成に導こうとしているのが小池都政と言っていいでしょう。

財界第一で都民不在

 「都民ファースト」を掲げ、華々しく登場した小池都政は、安倍晋三政権とタッグを組み、国家戦略特区や金融都市構想を推進。「都民ファースト」どころか「財界ファースト」の姿勢で、財界と国言いなりに、新自由主義に基づく公的責任の放棄と、都民への自己責任の押し付けを進めてきました。「住民の福祉増進」と「団体自治」という自治体のあるべき姿が問われる事態です。
 東京都には、全国の事業所の1割が集中し、その99%を中小業者が占めます。その中小業者が、自民党政権と石原都政以来の大企業優先、中小業者つぶし政策の下で苦しめられ続けてきました。
 中小業者は今、コロナ禍で痛めつけられ、異常な物価高と消費税インボイス(適格請求書)増税、高過ぎる社会保険料の下で深刻な事態に陥っています。まさしく”生き延びる”ための施策が切実に求められているのです。
 ところが、都の予算を見ると、具体的に活用できる”真水”の中小企業対策費は一般会計予算(8兆4530億円)のわずか0・3%。その中身も、外国人観光客(インバウンド)誘致や国際会議の招致推進などで、中小業者が”生き延びる”ための施策とは程遠いものがほとんどです。
 小池知事が掲げる「稼げる東京」の名の下での都市再生=東京大改造によって、大企業・多国籍企業のための超高層ビルが林立し、明治神宮外苑の樹木伐採や都民の憩いの場である公園緑地の開発などが計画されています。特定整備路線の大型道路建設では、ハッピーロード大山(板橋区)や十条商店街(北区)など、全国に名の知られた商店街が破壊されようとしています。

公約破りの独断政治

 「都民が決める都民と進める」「築地は守る」「情報公開は1丁目1番地」―。2016年の都知事選で小池知事が掲げた公約は、築地市場は閉鎖・解体されて豊洲市場に移転し、情報公開文書は真っ黒にマスキングされる―など平然と、ないがしろにされました。待機児童ゼロの公約も実現されていません。
 これらは”有権者の支持を得ることを第一”とし”当選すれば、公約など知ったことではない”という「ポピュリスト」特有の危険な姿勢です。改憲の旗手・日本会議の要職や自民党政権の下で総務会長を務め、防衛大臣などを歴任してきた小池氏は、改憲・核武装論者としても知られています。
 6月20日告示の東京都知事選で問われているのは、「都民の暮らし無視」の小池都政の在り方と、政治家としての小池氏自身の資質です。

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