政治資金規正法改定案 裏金作りの真相解明こそ尽くせ|全国商工新聞

全国商工新聞

 自民党の裏金事件への糾弾が強まる中、自民、公明、維新の3党合意による政治資金規正法改定案が審議され、今国会での成立が狙われています。裏金作りの温床となっている政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止に踏み込まない「修正」案にとどまり、「こんなにひどいとは思わなかった」と失望や怒りが広がっています。
 「修正」案は、パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」としますが、5万円以下は非公開のままで、献金を公表したくない企業によるパーティー券購入の抜け穴を残しました。しかも、実施時期は3年後の2027年からです。
 現行の法令では定めがない政策活動費が「政党から個人への支出」として合法化され、公開は10年後とされました。10年間も非公開では、違法・不適切な支出が判明した時点で、党幹部や議員の交代、政党の離合集散が発生している可能性が高く、責任の明確化が困難になります。
 政治資金収支報告書の保存期間も3年とされ、インターネットなどで公開されても3年後には削除されます。報告書への記載も、当面は「組織活動費」「選挙活動費」など大まかな項目別に支出年月と金額を書けばよく、具体的な使い道が不明な「ブラックボックス」の状態が続きます。
 会計責任者が有罪になった場合に政治家自身も責任を負う「連座制」導入も不十分です。政治資金収支報告書を議員本人が確認し、その旨を記載した「確認書」を交付して、不正があった場合には公民権停止の対象になるとしますが、「確認はしたが不備には気付かなかった」などと言い逃れ、会計責任者に責任を転嫁することもできます。
 裏金を手にした政治家個人が、裏金を原資に政党支部に寄付し、それによって所得税の控除を受けていたことも次々と発覚しました。裏金作りは「いつから始まり、何に使われてきたのか」の真相解明が尽くされなければ、再発防止など、できるわけがありません。
 裏金の真相を解明し、企業・団体献金を全面禁止にするためにも、7月7日投開票の東京都知事選や来たるべき総選挙で審判を下し、金権腐敗政治を一掃させましょう。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから