「高過ぎる国民健康保険(国保)料・税の引き下げへ、国庫負担増額を求める自治体での意見書採択やオンライン署名に取り組もう」―。全国商工団体連合会(全商連)も参加する中央社会保障推進協議会(中央社保協)は1日、東京都内で、春の「国保改善運動交流集会」を開きました。会場とオンライン合わせて118人が参加しました。
全日本民医連の山本淑子事務局次長が「民医連の手遅れ死亡事例調査が示すもの」をテーマに特別報告。「調査は、経済的困窮が医療へのアクセスを阻む実態を明らかにした。国民皆保険制度なら、お金のあるなしにかかわらず、全ての国民に必要な医療を提供する仕組みを構築すべきだ」と主張しました。
具体的な課題として、国保法44条を活用した医療費窓口負担減免や、同77条による保険料減免の適用範囲の拡充や申請手続きの簡素化を求めていくこと、30%程度まで”減らされ続けてきた”国保の国庫負担を以前の45%に戻し、高過ぎる国保料の見直しを求めていくこと―などを提起しました。
各地から国保を巡る実態が報告されました。「今年度から大阪府内の統一国保がスタート。和泉市の国保料(所得200万円、40代夫婦と小中学生の子どもの4人世帯のケース)は、昨年度比で26%も上がる」(大阪)、「朝5時に警察を含む11人が”徴収のため”自宅を訪ねてきた」(千葉)など、保険料水準の統一化や強権的徴収の実態が告発されました。
一方、「札幌市との交渉を定例化することで、市の姿勢が、懇切丁寧な納付相談に応じるなど変化した」(北海道)、「県民の運動や市町村の意向を尊重した結果、『オール沖縄』県政は今年度からの保険料水準の統一を見送った」(沖縄)との成果や、「自治体単位での国保問題の学習を呼び掛けている」(埼玉)、「国が、一般会計からの国保への法定外繰り入れを解消させようとする中、対象にならない『決算補填等目的以外の繰り入れ』の拡大を重視した運動を進めてきた」(愛知)との実践が語られました。
中央社保協の林信悟事務局長が、各自治体で「国保への国庫負担増額を求める意見書」を採択する運動を提起。都道府県に対して「独自補助の拡充」を求めるとともに、市町村に向けて①法定外繰り入れの拡充②国保料・税の軽減や減免制度の拡充③健康保険証の取り上げ、不当な差し押さえの中止―などを求める運動を強めようと呼び掛け、6月中旬から「国保改善オンライン署名」に取り組むことを明らかにしました。