業者の苦難打開へ、力を集め 全商連第56回定期総会開く|全国商工新聞

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地域に根を張る民商大きく

 「今こそ民商を大きくするチャンスだ」「久しぶりに全国の仲間と顔を合わせ、元気が出た」―。全国商工団体連合会(全商連)は5月25、26の両日、東京都内で第56回定期総会を開きました。過去2回の総会は、コロナ禍による「オンライン併用」が続きましたが、今回は6年ぶりに参加者が一堂に会する総会に。全国各地の民主商工会(民商)から集まった役員、代議員ら614人は、時代の変化に対応した運動と組織づくりに向けて力を発揮し、2026年3月末までに商工新聞読者20万人、会員16万人の実現に挑戦する決意を固め合いました。

全商連第56回定期総会開く30代女性と年配者対象に6年ぶり一堂に会し
各地の多彩な取り組みと奮闘に大きな拍手を送る総会参加者
所属する民商の運動や苦労、喜びなどを交流した分散会
総会表彰基準を達成し、北海道・空知民商を代表して表彰状を受け取る佐藤成子会長
平和と商売を守る民商・全商連運動の継承・発展を呼び掛ける全商連の太田義郎会長(壇上中央)
全商連第56回定期総会方針などを満場一致で採択した総会参加者

 太田義郎会長はあいさつで、日本の情勢について「国民の暮らしや肩にずっと重いものが詰まった35年だった」と振り返り、国民や中小業者の苦難を打開する必要性を強調。「中小業者は、地域で営業を続けているだけで社会貢献になっている」と述べ、「頼りになる”わが民商”、強く根を張った”わが民商”を皆さんとともに、つくっていきたい」と訴えました。常任理事会報告で岡崎民人事務局長は、激動する情勢と共同の時代への展望▽経営危機打開へ力を合わせる運動▽消費税減税とインボイス(適格請求書)制度の廃止など、税・社会保障制度の是正▽憲法と平和・民主主義の擁護・発展―について言及。「毎月、会員比で2%の商工新聞読者と1%の会員を増やす努力を続けよう」と呼び掛けました。

新加盟の民商も

 1日目の全体会では、12人が発言しました。
 「(1月の)震災発生後から日がたつにつれ、被災者や会員の要求が変化している。輪島支部の会員50人中、最初、事業継続を考えている人が10人しかいなかったが、31人に増えている。しっかりアンテナを張って活動していきたい」(石川・能登民商)
 「4月に7人増やして会員が100人を超え、全商連に加盟した。専従の事務局員はまだいないが、非常勤の女性4人で運営してきた。引き続き、200人をめざし、頑張ります」(沖縄・宮古民商)
 「『なんで私ばかりに拡大を言うのか。400人の会員全員に言ったのか』と言われて反省。全会員に訴える中で、協力してくれる方が1人、2人と増えて70~80人になった。参加者が増えると楽しい」(大阪・堺南民商)
 「全県の民商が協力して各民商を支援する拡大宣伝行動『民商の風』を続け、役員・会員中心の活動をめざしている。『こんなに楽しいとは思わなかった。次も参加したい』との声も」(滋賀県連)
 「北空知、南空知の2民商が合併して以来、減らさず増やす努力を続けてきた。『無理だ。本当にできるのか』との不安もあったが、8月に民商まつりを開催することになった。最高に盛り上がっています」(北海道・空知民商)
 その他、インボイス学習会の継続、宣伝行動や役員会への参加を広げる取り組み、婦人部・青年部・共済会を通じた交流などについても、多彩な経験が紹介されました。
 文化企画では、民族歌舞団「荒馬座」(東京・板橋民商会員)が獅子舞や水口囃子などを披露し、会場を盛り上げました。

結び付き広めて

 2日目は、25の分散会に分かれ、活動の教訓や悩みについて交流しました。分散会の議論では―。
 「税務調査を受けた会員に対し、『民商をやめれば調査を終了する』という、とんでもない税務署員の発言があった」との事例が紹介され、議論。仲間と一緒に対応する中で、「税務調査を受けるたび、支部が強くなっていった」と、発言がありました。
 会員との結び付きでは、「LINEなどSNSを使うようになり、連絡が取りやすくなった。『電話をするより楽』という声もある。直接の相談では出しにくいような細かい相談にも応じることができるようになっている」という経験も語られました。
 経営対策では、「物価高騰に苦しむ地域業者の実態を自治体に届け、懇談を重ねる中で、事業者への支援金を創設させた」など、実利を勝ち取ってきた運動も報告されました。
 拡大宣伝行動を続ける苦労では、「費用対効果はあるのか?」といった質問も。「宣伝行動をいったんやめると、再開が難しくなる。頑張って続けることが大切。通信を送って商工新聞に掲載され、それが励みになっている」という意見もありました。総会中も、各地で仲間増やしに奮闘し、延べ92組織が表彰されました。

「定石」を大切に

 新役員を代表して、太田会長が「新会員が増えているきっかけは、7~9割が会員からの紹介だ。歴史に刻まれた定石通りの活動をやれば、必ず明日が見えてくる。皆さんとともに、これから2年間、大いに頑張りたい」とあいさつしました。
 新任の三戸部尚一副会長が「6年ぶりに一堂に会することができた。みんなで集まると元気が出る」と閉会あいさつ。「中小業者を踏みつぶそうとする政権を私たちの力でやめさせ、中小業者が商売を続けることができるような政治に切り替えていこう」と強調しました。
 最後は参加者全員で「団結ガンバロー」をして閉会しました。
 仕事を調整し、家族の協力も得て参加した代議員からは「次世代に運動を引き継ぐため頑張りたい」「今の政治に物を言える民商運動のすごさを再確認した」などの感想が語られました。

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