「7月からの新札発行に対応した店内の券売機に改修しなければ、顧客を失うかもしれない」―。7月3日に発行される1万円、5千円、千円の新紙幣に対応する券売機などの新規導入や改修にかかる多額の費用負担に中小業者から不安の声が上がっています。インターネット上では、「返済不要の補助金で新札対応機器を導入できる!」「補助金情報を完全無料で!」など、国の各種補助金が活用できるかのような情報が多数流されていますが…。
対応を要請 全商連
全国商工団体連合会(全商連)は5月15日、日本共産党の笠井亮衆院議員事務所を通じて財務省、中小企業庁からレクチャーを受け、小規模事業者持続化補助金など国の補助金が活用できるのかどうかを確認。その結果、ネット上の情報とは異なり、補助金はほとんど活用できないことが明らかとなりました。
中小企業庁は「そもそも新紙幣対応として、特別な支援策は考えていない」とし、「持続化補助金は、『販路開拓』に資すると判断されれば採択される可能性はあるが、単なる機器の入れ換えでは駄目。ものづくり補助金は、今年度の募集を終了している。IT補助金で措置しているのは、インボイス対応の場合のみになる。これまで券売機などを使っておらず、新規に導入する場合だけ、省力化補助金の対象となる可能性がある」と説明しました。
財務省は「これまでも、改刷の際には個々の事業者で対応してもらっており、政府として個別の助成などは考えていない」と無責任な言動に終始しました。
全商連の中山眞常任理事は「愛知県の大口町では、簡素な手続きで50万円まで助成している(図)。東京都葛飾区も同様の制度を予定している。自治体任せにせず、国として対応を」と重ねて要請。今後も支援を求めます。