国会質問と運動の成果
美容クリニック業者納付協議へ
「(社会保険料徴収を巡る)国会でのやり取りを踏まえ、今後は一人一人の実情を丁寧に聞き取って対応していく。申し訳ありませんでした」―。納税者の実情を無視した社会保険料の強権徴収を行っていた東京・新宿年金事務所がこのほど、東京都新宿区内で美容クリニックを経営する杉下哲也さん(仮名、3月18日号1面、4月8日号3面既報)に謝罪しました。乱暴な徴収を従業員の面前で行ったことによる大量退職で生じた経営悪化など年金事務所の責任を追及しつつ、「換価の猶予」を求めて納付協議を継続することにしています。
コロナ禍で来客数が減少し、社会保険料の支払いが2023年6月以降困難になっていた杉下さんは、新宿年金事務所に分納の相談をしました。ところが年金事務所は「3回の分納しか認めない。不履行になったら滞納処分を実施する」と法的根拠のない納付約束を強要し、昨年12月26日には年金事務所の職員が、お客やスタッフの目の前で金庫やレジを開けさせ、現金100万円を差し押さえるという暴挙に出ました。
杉下さんが、全国商工団体連合会(全商連)の厚生労働省要請に参加して実態を告発する中、日本共産党の小池晃、倉林明子の両参院議員が「『社保倒産』はあってはならない」と国会で取り上げました。今回の年金事務所の対応は、「中小企業の経営を著しく圧迫し、倒産させるようなことは避けなければならない」(武見敬三厚労相)、「納付の猶予は最長4年」「直ちに差し押さえを行うのではなく、経営状況等を踏まえながら分割納付の仕組みを活用し、差し押さえに当たっても事業の継続に影響の少ない財産を優先する」(国税庁、厚労省)など、引き出した答弁を踏まえたものです。
杉下さんは、入会した新宿民主商工会(民商)とともに、年金事務所との協議を進めることにしています。