インボイスに不満爆発 実態調査を紹介|全国商工新聞

全国商工新聞

 消費税インボイス(適格請求書)が強行され、新たに消費税を納めた事業者から「課税期間が3カ月だから納められた」「2割特例で何とか払った」などの声が相次ぎました。民主商工会(民商)の班会を機に取引先と交渉し、契約価格引き上げを勝ち取った事例や、フリーランスの会の実態調査を紹介します。

フリーランスら 「見直し・中止」9割超 STOP!インボイスアンケート結果公表

実態調査結果を報告するSTOP!インボイスのメンバー

 「インボイス制度の見直し・中止を望む声91.9%」―。会場でフリーランスの要求が大写しにされました。「インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)」が4月26日、国会内で語った記者会見の一こまです。「インボイス制度におけるフリーランス等の実態調査」の結果を公表し、財務省や国税庁、中小企業庁、公正取引委員会に7千人分の実態を突き付けました。
 調査は、フリーランスや会社員、経営者などインボイス制度の影響を受ける人を対象に、3月22日から4月5日の2週間、オンラインで実施。7千人超の回答が寄せられ、自由回答欄には、インボイス制度への怒りや不満、悩みなど4500人以上のコメントが記入されました。
 同会呼び掛け人の阿部伸さんは記者会見で、「回答数の多さ、自由記入欄への記入の多さからも、インボイス制度開始後も、この問題への関心が高いことがうかがえる」と報告しました。
 回答者の約8割をフリーランス、個人事業者が占め、インボイス制度について91.9%が「デメリットが多いので制度の見直しや中止を望む」と回答。消費税の負担・価格転嫁については、インボイス登録事業者の約6割が「負担軽減措置のある間は対応できるが、その後のめどがたたない」(32.5%)、「負担が大きく事業が成り立たなくなりそうだ」(27.4%)と答えています。
 インボイス登録後の消費税負担で事業者が厳しい負担を強いられている様子が浮かび上がりました。6割超が消費税の事務負担や費用の価格転嫁ができず「身を削って補填」。消費税を納税するために、「借り入れ」した事業者は200人を超えました。
 自由記入欄には、「軽減措置期間が終われば、消費税の納税ができなくなる恐れがある」(30代、フリーランス/クリエイター)、「免税事業者の個人事業主はサイレント排除されまくっている」(40代、フリーランス/卸売り・小売り)、「経過措置を過ぎれば、廃業するしかない」(50代、フリーランス/サービス業)、「今月いっぱいで事業撤退を決断した」(50代、サービス業)、「インボイスによる負担増で莫大な借金をしており、利息と取り立てで毎日自殺を考えている」(50代、フリーランス/クリエイター)など切実な声が寄せられています。
 阿部さんは「調査結果からは、消費税が決して”預かり金”ではないことを浮き彫りにした。借金までして納税する消費税が”正しい税制”と言えるのか」と憤慨。「このまま制度を継続することは多くの懸念がある。不利益を被る事業者への配慮など、何かしらの施策とともに、中止・廃止を含む、制度の抜本的な見直しが必要だ」と訴え、財務省などに詳細な実態調査の実施を求めました。

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