東日本大震災時に創設された「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」(グループ補助金)。店舗や工場などの再建を後押しし、被災事業者に喜ばれた一方、震災から13年余が経過し、経済情勢や経営環境は大きく変化しました。やむを得ず業態変更したり、補助金を活用して導入した建物や什器設備の改修・改良、用途の変更、廃棄などを余儀なくされた事業者に対し、補助金の返還を求められる事態が発生しています。全国商工団体連合会(全商連)は11日、経済産業省の石井拓大臣政務官と会談し、補助を受けた事業者の実情に応じた柔軟な対応を求める要請を行いました。
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(補助金適正化法)17条(図1)は、補助金返還に関する規定を定めており、このことが事業継続の足かせとなっています。要請では、17条について、補助事業者が直面する実態に即して事業を継続できるようにするととともに、一定の要件を満たす場合には返還の免除を可能とする「法令解釈通達」を発出するなどの対応を求めました。
石井政務官は「能登半島地震では、発生から3カ月が経過し、支援が動き出している。なりわい再建支援補助金は、石川県で6件、富山県で38件の交付が決定している。政府として支援本部を立ち上げた。現場に目配りしながら取り組んでいきたい」と述べました。
三戸部尚一常任理事(宮城県商工団体連合会会長)は「グループ補助を受けた時点と比べ、サンマの加工用機械などが漁獲高の激減で使用できなくなるなど、状況は相当変化している」と現状を訴え、「『融資の返済を待ってほしい』との声も聞いている。個々の事業者の状況をつかんで、寄り添った対応を」と要望。石井政務官は「融資関係についての通達を広める努力をしたい」と応じました。
また、政府が3月29日付で、北海道、青森、岩手、宮城、福島、千葉、茨城、栃木の8道県宛てに発出した事務連絡「中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助金(グループ補助金)により取得し又は効用が増加した財産の取扱いについて」(図2)の周知徹底および、能登半島地震についても、同趣旨の事務連絡を行うよう求めました。その結果、17日から「なりわい再建支援補助金」を周知する石川県のホームページで、「補助金相当額の納付を求めない場合があります」などの表示が追加されました。
要請には、日本共産党の笠井亮衆院議員、岩渕友参院議員が同席しました。